インサート成形のメリットについて
インサート成形は、インサート品（金属や端子、ICタグなどの半導体部品、ガラス、インサートナットなどの異種素材）と樹脂を一体化する成形方法で、プラスチック射出成形のひとつです。金型内にインサート品をセットし、その周りへ樹脂の充填を行うことで樹脂とインサート品を一体化させます。ここではインサート成形の様々なメリットを「一体化」「金型」「熱可塑性樹脂」「強度」「封止」「量産」「組み立て工程・工数削減」「精度」「耐久性」のそれぞれの観点から解説します。また、インサート成形以外のプラスチック成型法として真空（圧空）成形とフィルムインサート成形に着目し、それぞれのメリットをご案内します。
目次
インサート成形（射出成形）の様々なメリット
インサート成形（射出成形）は、金型内にインサートした金属や端子、ICタグを含む半導体部品、ガラス、インサートナットなどの異種素材の周りに、加熱溶融させたプラスチックの原料を射出注入して、インサート品とプラスチック樹脂を一体化する成形方法です。インサート成形にはさまざまなメリットがあります。ここではインサート成形のメリットとして「一体化」「金型」「熱可塑性樹脂」「強度」「封止」「量産」「組み立て工程・工数削減」「精度」「耐久性」を挙げ、それぞれの角度からメリットを解説します。
一体化
インサート成形は金型にあらかじめ金属のネジや端子、ICタグを含む半導体部品、ガラス、インサートナットなどのインサート品を入れ、そのまわりにプラスチック樹脂を注入し、複合成形する技術で、異種素材を一体化できるメリットがあります。 このメリットを生かしインサート成形は、樹脂の絶縁性を利用したコネクタやスイッチなどの電子部品、ドライバーやラジオペンチなどの工具のグリップ製作、製造でひんぱんに用いられています。
金型
インサート成形の金型は、通常の射出成形の金型と異なり、インサート品に傷がつかない金型構造にする必要があります。そのためインサート成形の金型製作には高いノウハウが求められますが、三光ライト工業は射出成形金型を自社で製作しており、豊富な実績を有しています。弊社は豊富なメリットを生むインサート成形金型を中原工場で製作しています。同工場に金型製作部門を構えており、最新鋭のマシニングセンターやNC放電加工機、NCワイヤー放電加工機、細穴加工機、フライス盤、平面研削盤、成形研削盤、レーザー溶接機、精密高速旋盤、直立ボール盤、3次元CAM／3次元CADなどを設備しています。これらの設備、機械を最大限に駆使し、インサート品に傷がつかない高精度の金型を製作いたします。なお、インサート成形の金型構造ですが、オス型は射出装置側（固定側）に、メス型は型締め機構側（可動側）に取り付けます。オスとメスの金型が合わさってできた空洞部（キャビティ）に溶融樹脂を射出、注入、充填します。射出された溶融樹脂は、金型内のスプルーからゲートを通り、キャビティ内に流れ込みます。金型内に充填した樹脂が冷却・固化したのち、可動側のエジェクタプレートに固定されたエジェクタピンが金型内の成形品を突き出すことで離型させます。
熱可塑性樹脂
インサート成形ではたびたび板金が使用されますが、板金の熱膨張と熱可塑性樹脂の収縮に差が出ることがあります。そのため板金の熱膨張率と樹脂の収縮率を把握して成形する必要があります。また、成形後に反りが出る場合もあるため、反り矯正が必要となったり、成型不良を回避するための逃げを作る、といった対策が求められます。これらの不具合を回避するには使用する熱可塑性樹脂の特長や特性を詳しく把握しておくことが大前提となります。その点、三光ライト工業は素材についても豊富な知見を有していますので、それぞれの樹脂のメリットを最大限に生かしたインサート成形品を量産可能です。
強度
インサート成形ではアルミやSUS（ステンレス鋼）などの金属素材がひんぱんに使用されます。アルミやSUSを使用し、樹脂と一体化させることでプラスチック成形品の強度は飛躍的に高まります。このように異種素材を組み合わせたインサート成形は、強度の面で大きなメリットがあります。こうしたメリットが期待され、インサート成形はスマートフォンや携帯電話筐体の製造にひんぱんに採用されているほか、アウトドア製品の軽量化、薄型化などに大きく貢献しています。
封止
インサート成形は金属のみならず、ICタグや端子、インサートナット、ガラスなどの機能部品をプラスチック樹脂に封止することができます。複雑な機能部品を一体化することによって、部品数を減らし、組み立てやメンテナンスが容易になります。こうしたプロセスにより製品の信頼性が向上し、製造コストの削減にも寄与するメリットもあります。例えば、電子機器の小型部品や医療機器の精密部品など、複雑な構造を持つ製品において、このメリットは特に顕著となります。封止して一体化することで部品の風化を防げるのもインサート成形のメリットのひとつです。
量産
インサート成形はインサート品を都度、金型にセットする必要があります。そのため大量生産には向かなかったり、量産するには人手が必要になる場合もあります。しかし、パーツフィーダーなどの専用挿入機やロボットを使うことで無人装着が可能となり、大きなメリットを生み出します。量産の際には耐久性の高い鋼材を使った量産金型が用いられます。量産金型を使用することで、耐用ショット数を確保できるため成形に要する時間を短縮できるほか、1個あたりの製品コストが削減されます。量産金型を使用することで精度の高い製品を早く安く生産できるため、価格と品質の向上につながります。
組み立て工程・工数削減
インサート成形は異種素材を一体化する成形技術ですので、その後発生する組み立て工程・工数の削減やリードタイムの短縮といったメリットがあります。人件費や物流費を削減でき、リードタイムも短縮できるといったメリットもあります。ただしインサート部品の装着を自動化できないと人手で部品を金型に装着するために成形機1台につきひとりの人員が必要になり成形費がアップしますので注意が必要です。長期的に見るとインサート成形は工数削減、リードタイム短縮の効果が上回るケースが多いと言われます。
精度
インサート部品を金型に装着する工程では、板金のように平面部分があると自動で装着しやすくなります。板金インサートの場合は、トラバースを用いて自動でインサートしますが、成形機に取り付けられた金型とインサート板金の位置関係をしっかり決める必要があります。また、大量生産する製品ではパーツフィーダーなどの専用挿入機やロボットを使って装着を無人化するケースもあります。装着する際、インサート部品は金型への装着位置が正確に決まっており、専用挿入機やロボットによる装着は後工程で人手による組立より大幅に精度が向上します。イニシャルコストはかかりますが、専用挿入機やロボットを導入するメリットは極めて高いといえます。
耐久性
金属など剛性や耐久性のある素材をインサートすることで、プラスチック部品の機械的強度が向上するといったメリットがあります。特に負荷がかかる部品や、耐久性が要求される用途においてインサート成形は極めて効果的な成形手法です。例えば、自動車のエンジン部品や航空宇宙産業の構造部材などでは、高い強度が絶対的に必要とされます。このように金属を柱としたインサート成形は高度な要求に応える成型手法としてひんぱんに使用されています。
インサート成形以外のプラスチック成型法のメリット
インサート成形以外のプラスチック成型法のメリットをご案内します。ここでは真空（圧空）成形とフィルムインサート成形、2色成形、LIM（Liquid Injection Mould）成形のそれぞれのメリットなどをご案内します。
真空（圧空）成形
真空（圧空）成形は雌型（凹型）または雄型（凸型）のいずれか一方のみを用いて熱可塑性樹脂などの素材シートを金型に合わせた形状に成形する方法です。シートを加熱軟化させたのち、すみやかに型とシートとの隙間を真空、いわゆる減圧状態としたうえで、シートを型に密着させて冷却後空気を吹き込んで成形品を取り出します。凸凹両方の金型を用いるインサート成形を含む射出成形と異なり、真空成形はいずれかの型のみで成形できるため、型費が抑えられるといったメリットがあります。また、部分的なデザイン変更や型改造が容易で、穴位置や切り欠きの変更は型改造が不要といったメリットがあります。また、真空成形は大型サイズの製品や小ロット生産にも対応可能といった技術的特長があります。なお、三光ライト工業はトリミング機能付きの高速真空成形機を導入しており、同機は成形機とトリミング装置を同じフレーム上に設置し、全自動でトリミングが可能な最新鋭真空成型機です。成形や抜きの工程を全自動化し、10段重ねに対応したトリミング機能付き高速連続真空圧空成形機となっており、お客様のきめ細かなニーズに対応します。
フィルムインサート成形
フィルムインサート成形は射出成形の熱と圧力でフィルムと一体化した製品を成形する工法です。フィルムインサート成形は複雑な形状に活用できるほか、加飾化や多色化にも幅広く対応します。また、フィルムインサート成形は意匠性やデザイン性に富んだ成形が可能といったメリットがあります。さらに射出金型に樹脂フィルムをインサートすることで、成形と同時に加飾できる工法であるため、成形品の塗装、印刷といった二次加工の工数を削減可能です。結果としてリードタイムの短縮やコストダウンを実現します。
2色成形
2色成形（ダブルモールド）は2つの熱可塑性樹脂を一体成形する工法で、射出成形のひとつです。そのコスト削減のメリットは大きく、材料が異なる部品を組立することなく、1台の成形機で1サイクルで製造できるので、部品点数が減ります。また、複数の部品を人手により組み立てる加工工程そのものが不要となるため、完成までの工数が抜本的に減りコストダウンが期待できます。単色成形品の組み合わせやインサート成形ではできない機能や形状を実現でき、かつ一体成形により高品質で耐久性に優れた製品を製造できるのも2色成形のメリットです。
LIM成形
LIM成形とはシリコーンを含む2種類の液体を金型内に注入し、その中で化学反応により固化し自由な形状のシリコーン製品を製造する工法です。材料が液体なので自由な形状の製品を作ることができるほか、コンプレッション成形に比べて寸法精度に優れ、精密部品の製造に適しています。さらにシリコーン単体の製品だけでなくプラスチックや金属部品とシリコーンを接着、接合した複合成形品も製造可能などのメリットがあります。
メリット豊富なインサート成形品の製作は三光ライト工業にお任せください
メリット豊富なインサート成形の製作は三光ライト工業にお任せください。インサート成形では、金型内でのインサート品の正確な位置決めが極めて重要です。不正確な位置決めは、成形品質の低下や製品の不良を引き起こします。そのため、精密な金型設計が求められ、インサートの固定や位置合わせに関する特別な仕組みが必要になる場合もあります。金型設計の精度が製品品質を大きく左右するため、高度な技術と経験が不可欠です。その点、三光ライト工業は、成形品のみならず金型も一貫して自社設計、製造しており、これまで数多くの高精度インサート金型を製作してきた実績があります。
弊社は金型製作から試作、量産に至るまで一貫対応し、低価格、短納期で図面通りの高精度の成形品を安定的にご提供します。詳細な図面を頂かなくても略図などからお客様のイメージを形にします。大量生産はもとより、多品種少量生産もお任せください。大型製品から薄肉製品まで大小さまざまサイズを問わず対応可能です。弊社はプラスチック塗装も承ります。塗装は製品の加飾、表面処理技術の一つで、外観品質の向上や表面保護、耐久性が向上します。弊社は素材についても豊富な知見を有しており、熱可塑性樹脂はもとより各種エラストマー、スーパーエンプラなどの研究にも取り組んでいます。反りやクラック、ウェルドラインなどの改善事例も豊富です。弊社はスマートフォン筐体や工業用トレー、精密機器部品、半導体関連部品、コネクターカバーなど様々な製品をご提供しています。いずれも低価格、短納期、外観を含めた高品質、高精度の製品です。プラスチック成型品であれば何でも三光ライト工業にお任せください。ご連絡お待ちしています。
