LIM成形で使用するゴム(シリコーンゴム)について
LIM成形で使用するゴム、いわゆるシリコーンゴムについて解説します。ここではシリコーンゴムの種類とLIM成形で使用する金型について詳しくご案内します。あわせてLIM成形以外のゴム成形方法をご紹介します。
目次
LIM成形(射出成形)で使用するシリコーンゴムの種類
LIM成形(Liquid Injection Molding)とはシリコーンを含む2種類の液体を金型内に注入し、化学反応により固化し様々な形状のシリコーン製品を製造する工法です。LIM(lim)成形はインジェクション(injection)成形、つまり射出成形の一種で、真空成形などと同様にプラスチック樹脂成形のひとつに数えられます。LIM成形(射出成形)で使用するシリコーンゴムは、原材料の段階で大きく分けて液状タイプの液状シリコーンゴムと固形タイプのミラブル型シリコーンゴムに大別されます。ここでは液状シリコーンゴムとミラブル型シリコーンゴムのそれぞれの特長などを解説します。なお、シリコーンは、たびたびシリコンと同じ意味で混同されがちですが、厳密には異なります。シリコンは元素記号Siで表されるケイ素を意味し、物質としてはグレー色をした金属状の物です。よく知られる製品としては、半導体用のシリコンウェハーがこのシリコンの応用製品に当たります。一方のシリコーンは有機基のついたケイ素と酸素とが化学結合で交互に連なってできた物質で、オルガノポリシロキサン類のポリマーの総称を意味しています。
液状シリコーンゴム
LIM成形で使用する液状シリコーンゴムは、配合によって耐熱性、耐燃性、難燃性、耐寒性、電気絶縁性、導電性、着色性、耐水性、耐油性、耐薬品性に優れる素材です。また、人体に優しい特長があります。液状シリコーンゴムは空気中の水分と反応し硬化する一液型、硬化剤を混合して硬化する二液型のふたつがあります。空気中の水分と反応し硬化する一液型は作業性が良いため接着、シール、コーティングなどにもひんぱんに用いられます。一方、硬化剤を混合して硬化する二液型はポッティング用に最適です。一液型液状シリコーンゴムは縮合反応(オキシム・アルコール・アセトン・酢酸)と付加反応、二液型液状シリコーンゴムは縮合反応、付加反応があります。液状シリコーンゴムのメリットは前述のとおり、耐熱性、耐燃性、難燃性、耐寒性、電気絶縁性、着色性、耐水性、耐油性、耐薬品性など様々な特性があります。また、材料の取り扱い上、異物混入が少ないのも液状シリコーンゴムを使用したLIM成形のメリットといえます。また、連続自動成形が可能なうえ、専用金型を作り込むことで、バリとランナーのない成形、いわゆるノーバリ、ランナーレスが可能となり、廃材の処理が不要となります。LIM成形機によっては独自の機構を用いてランナーレスで製品仕上りのきれいなダイレクトゲートを実現しています。これらの特性を活かして、液状シリコーンゴムを使ったLIM成形品は精密機械や家電、OA機器、医療機器、食品業界、スポーツ用品、自動車、日用品など幅広い用途で使用されています。また、これらの物質特性に加え、自動化できるのも液状シリコーンゴムの大きなメリットです。ただし、自動化を実現する金型には加工精度と精密設計が極めて重要になります。また、成形品の離型においても高いノウハウが求められます。その点、三光ライト工業では射出成形金型を自社製作しており、これまで数多くの高精度金型を設計、製作してきた実績があります。高度な金型技術を駆使し、弊社は液状シリコーン成形の自動化をサポートします。
ミラブル型シリコーンゴム
ミラブル型シリコーンゴムは原材料の段階で固形タイプとなっており、ロールミルやニーダーで混練することを前提に設計されたシリコーンゴムコンパウンドです。ミラブル型シリコーンゴムは射出成形のほか、圧縮成型、トランスファー成型、押出成型でも使用されます。LIM成形でシリコーンゴムを使用する場合、自動化、省人化できるのは液状シリコーンゴムが大半でしたが、ミラブル型シリコーンゴムは液状材料に比べて安価かつ高強度なことから自動化、省人化の取り組みが加速しています。また、ミラブル型シリコーンゴムのなかでも高速加硫材が開発された点や、小ロットの生産に向いているなどの理由から、材料の投入から製品の取り出しまでを自動化するメーカーが増えています。
シリコーン(silicone)ゴムLIM(lim)成形で使用する金型
シリコーン(silicone)ゴムLIM成形で使用する金型について解説します。LIM成形で使用する金型は射出成形金型となります。三光ライト工業は成形品のみならず射出成形専用金型も自社工場で製作しています。射出成形の専用金型も自社工場で製作することでデザイン変更などのご要望にも柔軟にお応えするとともに、低価格、短納期でLIM成形品をご提供します。ちなみに弊社は中原工場に金型製作拠点を構えており、同工場にはマシニングセンター、NC加工機、NCワイヤー放電加工機、細穴加工機、フライス盤、平面研削盤、成形研削盤、レーザー溶接機、精密高速旋盤、直立ボール盤、3次元CAM/3次元CAD/2次元CADなどの機械、装置を設備しています。いずれも最新鋭の設備で、これら設備の能力を最大限に発揮し、高精密なLIM成形品をご提供します。
LIM成形以外のゴム成型方法
LIM成形以外のシリコーンゴムを含むゴム成型方法をご案内します。ここではインサート成形、コンプレッション成形、押出成形の3つの工法について、それぞれの技術的な特長などを解説します。
インサート成形
インサート成形では、シリコーンゴムと樹脂パーツや金属パーツとの一体成形品が様々なメーカーで製造されています。基盤やICタグなどの電子部品とのインサート成形品も多く流通しています。シリコーンゴムのインサート成形は、塗装では再現できないデザインが可能なほか、3D形状に成形することも可能です。また、加飾面が内側にあるため耐久性が向上するのに加え、成形品の模様にも追従可能となります。インサート成形ではシリコーンゴムどうしの多色、異硬度の成形も可能で、それぞれのパーツを強固に密着させることで強度が増すとともに、意匠性も高まります。
コンプレッション成形(圧縮成形)
コンプレッション成形(圧縮成形)とは、金型に流し込んだ液状ゴムを熱と圧力をかけて架橋させて成形する方法です。ゴムの成形方法としてはもっとも一般的な工法で、プレス成型とも呼ばれます。コンプレッション成形は金型や設備などのイニシャルコストが比較的安価なうえ、樹脂の射出成形のようにランナーなどの材料の通り道が無いので、材料をムダなく容易に使えるといったメリットがあります。半面、バリ取りの後処理が必要不可欠であるのに加え、サイクルタイム(サイクル・タイム)が長い、複雑な形状の製品には不向きといったデメリット、短所があります。
押出成形
押出成形は加熱して融解したゴムなどの素材をダイスと呼ばれる金型から押し出し、そのまま冷却して製品を形成する方法です。押出成形はところてんにも例えられるように長く連続した形状の製品に適しており、製品サイズにカットすることで、安定した品質を確保できるのがメリットです。同一の断面形状を連続的に成形する場合だけでなく、長尺製品を製造する場合に容易かつ最適な加工方法です。金型の形を工夫することで、幅広い製品に対応可能となります。
三光ライト工業は高度なLIM(liquid injection molding)成形技術でゴム製品をご提供
三光ライト工業は高度なLIM(liquid injection molding:lim)成形技術で高品質のシリコーンゴム成形品をご提供します。弊社は川崎工場(本社)と埼玉工場および中原工場の試作機を合わせて、LIM成形機を計7台保有しています。いずれも最新鋭の設備で、これらの設備能力を最大限に発揮し、高品質のLIM(Liquid injection molding)成形品をご提供します。量産、大量生産はもとより多品種少量生産、小ロット、大型、小型、厚物、薄物など、数量やサイズの大小を問わず、お申し付けください。弊社はシリコーンゴムによるLIM成形に加え、真空成形でも高度な技術があります。真空成形では様々な製品を製造していますが、トリミング機能が備わった最新鋭の全自動真空成型機による真空成形トレーなどがご好評頂いています。また、異なる樹脂や材料、具体的にはプラスチックやエラストマーを組み合わせて一体化させる2色成形は、業界随一と自負しています。ほかにも「アッセンブリ(組立加工)」も承っており、プラスチック成形品の製造だけでなく、塗装、印刷などの二次加工はじめ簡単なアッセンブリやパッケージ品や組み立てなどもお任せください。また、弊社は素材、材料樹脂についても豊富な実績を有しており、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PMMA(メタクリル酸メチルエステル)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)など様々な素材を取り扱っています。プラスチック成形品のことであれば何でも弊社にお申し付けください。ご連絡お待ちしています。