2色成形材料 エラストマーについて
エラストマーを使用した2色成形はお任せください。
2色成形で使用する材料、素材のひとつに「エラストマー」があります。エラストマーは一般に「ゴム」と呼ばれる熱硬化性エラストマーと、熱可塑性エラストマーに大別されますが、当社が2色成形で主に使用するのは熱可塑性エラストマーです。熱可塑性エラストマーは材料を加熱することで迅速に成型加工を行なえるメリットがあります。ここではエラストマーの種類やそれぞれの特性などを解説します。
目次
2色成形(ダブルモールド)で使用する熱可塑性樹脂 エラストマーの種類
2色成形で使用するエラストマーは熱可塑性エラストマー(TPE、Themo Plastic Elastomer)で、スチレン系(TPS)、オレフィン系(TPO)、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE、TPC)、アミド系(TPAE)などがあります。
ポリスチレン系(TPS)
TPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)は、柔軟性、弾力性に優れ、最もゴム的性状を持つTPEです。成形性、柔軟性、機械強度等の耐久バランスに優れることから、自動車や日用品から家電まで幅広い用途に使用されています。
オレフィン系(TPO)
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、塩化ビニール系、スチレン系とともに三大熱可塑性エラストマーの一つです。常温ではエラストマー(弾性体)であり、ゴムのような性質を持ちながら、一般のプラスチックと同様に成形加工が可能です。
ウレタン系(TPU)
ウレタン系熱可塑性エラストマーは、機械的強度、ゴム弾性、耐摩耗性、耐屈曲性、耐油性などに優れ、熱可塑性を持つウレタン系樹脂です。特に耐摩耗性は熱可塑性エラストマーの中で最高とされます。
エステル系(TPC)
エステル系熱可塑性エラストマーは、硬度と柔軟性を両立させた、プラスチックとゴムの間の存在の材料で、優れた曲げ疲労特性、耐屈曲性を持ちます。熱可塑性エラストマーの中でも使用温度領域が広いのが特徴です。
アミド系(TPA)
アミド系熱可塑性エラストマーは、化合物フラグメントがアミド結合で多数連結した高分子化合物で、その代表としては6,6-ナイロン(6,6-ナイロン)が挙げられます。強靭なことで知られ、耐薬品性、耐摩耗性もあわせもつ熱可塑性エラストマーです。
2色成形で使用するエラストマー以外の熱可塑性樹脂
2色成形ではエラストマー以外の熱可塑性樹脂を使用します。その一例が、汎用プラスチックやエンジニアプラスチックなどの樹脂です。ここでは汎用プラスチックとエンジニアプラスチックそれぞれの詳しい種類などをご紹介します。
汎用プラスチック
2色成形ではエラストマー以外にも汎用プラスチックを使用することがあります。汎用プラスチックの種類にはABS、PMMAなどがあります。ここではABSとPMMAの特長などについて説明します。
ABS
ABS(abs)はアクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styren)共重合合成樹脂の総称で、熱可塑性でグレードにより耐熱温度は70~100℃といった特徴があります。用途は、車の部品やカーナビ、電化製品、プラモデルなど用途は多い。
PMMA
PMMA(pmma:Poly Methyl Methacrylate)はポリメチルメタクリレート樹脂 (ポリメタクリル酸メチル樹脂)の略称で「アクリル」とも呼ばれています。外観自然色は透明で4大透明樹脂に数えられるなど高い透過性を有します。メガネ、各種ピックアップのレンズ、食品容器、大きなものでは、水族館の水槽などがあります。
エンジニアリングプラスチック
2色成形ではエラストマー以外にもエンジニアプラスチックを使用することがあります。エンジニアプラスチックの種類にはPC、PBT、PC-ABS、PAなどがあります。ここではPC、PBT、PC-ABS、PAの特長などについて説明します。
PC
ポリカーボネート(polycarbonate)は、熱可塑性プラスチックの一種で透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性・寸法安定性などにおいて、高い物性を示します。耐衝撃性は一般的なガラスの250倍以上ともいわれます。自動車用ヘッドライトレンズ、照明レンズ、サングラス 、眼鏡、スイミングゴーグル、スキューバーダイビングマスク、ヘルメット、CDやDVDディスクなどが挙げられます。さらにPCにガラス(GF)を10~30%入れ強度を強化したものは、携帯電話、スマートフォンの筐体などに採用されています。
PBT
PBTはポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)の略でエンジニアリングプラスチックの1つです。熱安定性や寸法精度、ガラス繊維で強化されたPBTは、機械強度が高く、電気特性に優れるため、電気電子部品や自動車部品、コピー機部品、コネクター・ソケットなどに幅広く利用されています。
PC-ABS
PC-ABSは(ポリカーボネート・アクリロニトリルブタジェンスチレン)の略で、剛性、硬度、加工性、耐衝撃性、曲げ疲労性など機械的特性のバランスに優れています。表面の美感や塗装性、印刷性も兼ね備えます。用途は車載部品、携帯電話機、スマートフォン部品に使用されています。
PA
ポリアミド(polyamide) は、酸とアミンが反応してできるアミド結合(たんぱく質と同じ結合)を持つ高分子化合物の総称です。一般にナイロンと呼ばれています。用途は、自動車部品であるシリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドをはじめとし、ギアやコネクターなど、いろいろな産業に使用されています。
2色成形(エラストマー含む)で使用する金型について
2色成形(エラストマー含む)金型には成形機の機構の違いで2種類(アーブルグタイプとDCタイプ)があります。製品の形状や大きさにより生産に適した金型を選択できます。
- 1型タイプ(アーブルグタイプ)
- 2型タイプ(DCタイプ)
2色成形(エラストマー含む)と射出成型(インサート成型)の違い
2色成形(ダブルモールド)と他の射出成形やインサート成形との違いはいくつかありますが、2色成形は他の成形工法と異なり、180度回転や反転といった工程を2色成形専用の成形機で行なうことで2種類の材料を組み合わせた成形品を1サイクルで生成できることが特徴です。多機能な成形品が1工程で生産できるため、工数を削減でき、かつ品質が安定した付加価値の高い成形部品を生産することが可能です。また、大量生産にも適しています。ただし、収縮率が異なる2種類の材質を組み合わせるために金型設計には肉厚などに高いの精度が求められ、使用する樹脂同士の接合や流動解析においても高度なノウハウが不可欠で、不適切な組合せでは樹脂の剥離といった不具合が起きてしまいます。さらには成形時の金型の温度コントロールにも細心の注意が求められます。このように異なる樹脂や材料、プラスチック(plastic)を組合わせる2色成形は、金型の設計により高い精度と成形ノウハウが必要な工法といえます。その点、当社は2色成形で豊富な実績がありますので、お気軽にお問合せください。
2色成型で軟質材料(エラストマー含む)と硬質材料を使用する際の注意点
2色成形(ダブルモールド)で軟質材料(エラストマー含む)と硬質材料を使用する際の注意点としては主に次の3つがあります。いずれにしても軟質材料と硬質材料の材質特性を十分に踏まえて熱融着(溶着)し、一体化させることが重要です。
- 外観部品の場合、1次側の形状により2次側樹脂にヒケがでる場合があるので1次側の肉厚に注意した設計を行なう事が必要です。
- 1次側成形材料と2次側成形材料との密着強度を考慮した設計を行います。
- 異種材料の接着部分の密着性が低下する可能性がある場合は接着面積を多めに確保する事が必要です。
三光ライト工業による2色成形(エラストマー使用)製品の一例
三光ライト工業が製造した2色成形(エラストマー使用)製品の一例をご紹介します。主にスマートフォンの防水コネクターカバーに使用されることが多いです。
2色成形(エラストマー使用)以外も当社にお任せください
三光ライト工業はエラストマーを使用した高度な熱融着(溶着)技術による二色成形品はもとより、単色成形品、インサート成形品、シリコーンLIM成形品、筐体塗装品・多色塗分け塗装製品・高品位「うるし材」塗装商品、組立加工品、メッキ仕様品、ヒンジ品、加飾品なども幅広く製造します。一次側モ-ルドを透明あるいは乳白色などで成形した上にABSなどの色付き樹脂を成形して文字やマ-クを光らせる「照光式ボタン」や様々な製品のグリップ部分なども製造可能です。素材、材質についても前述したもの以外にもTPE、TPO、POM、PBT、TPU、TPEE、ポリ塩化ビニル系(TPZ)などについても深い知見があります。当社は金型製作を自社工場で内製化しており、試作から組立てに至るまでお客様のニーズにきめ細かく対応します。また、加飾についても塗装、印刷、アッセンブリを内製化しており、同一工場内で一貫生産、量産可能です。大量生産にも柔軟に対応します。まずはお気軽にご相談ください。