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射出成形によるプラスチック加工について

射出成形 プラスチック

射出成形によるプラスチック加工について幅広く解説します。ここでは射出成形の主な加工工程をはじめ、射出成形のメリットや射出成形で見られる成形不良の一例をご紹介します。あわせて射出成形で使用するプラスチック樹脂もご案内します。

射出成形のプラスチック加工工程

射出成形によるプラスチック成形不良の一例

射出成形のプラスチック加工工程をご案内します。射出成形のプラスチック加工工程は、まず材料となるペレット樹脂を加熱し溶融することから始まります。そのうえで加熱溶融した樹脂をシリンダーを使用して金型内に注入、充填した後、冷却、固化、離型の流れで成形品を取り出します。ここでは射出成形のプラスチック加工工程を大きく「加熱・溶融」「金型への注入・充填」「冷却・固化・離型」にわけて、それぞれの作業内容を詳しく解説します。なお、凹形(雌型)の金型の場合、型が開く時に動く方を「可動(側)」と呼びます。一方、動かない方は「固定(側)」となります。さらに 「可動(側)」をコア、「固定(側)」をキャビティーと呼び、 雄型と雌型の金型によってできる空間部分をキャビティと呼ぶこともあります。

加熱・溶融

射出成形でははじめに材料となるペレット樹脂を加熱して溶かすといった工程があります。

ホッパー部分に素材を入れるとともに、シリンダー内部ではスクリューが回転しており、その動きにより、投入された樹脂材が先端部分へ運ばれます。スクリューにはヒーターが稼働しており、運ばれる過程で徐々に樹脂が溶けていく仕組みになっています。乾燥機によって水分を除去された樹脂は射出シリンダーに送られ溶融されます。一口に溶かすといってもさまざまなノウハウが必要で、溶融ができていないとプラスチック材料に流動性を与えることができず、成形不良を招きます。その点、三光ライト工業は高度な溶融技術を有しており、図面通りの高精密な成形品を大量生産可能です。なお、樹脂が溶ける温度は素材によって多少の誤差はありますが、約200度ほどとなります。

金型への注入・充填

射出シリンダーで加熱溶融した材料は中のスクリューでよく混練されます。そのうえで先端のノズルから圧力をかけ金型内の空洞にスプルー、ランナー、ゲートを通過して注入、充填されます。溶融樹脂を金型に流し込む際にも注意が必要で、溶融樹脂は水などと違ってかなり粘りが強く、ドロっとしているため、ノズルを使って適切な圧力を加えながら流し込む必要があります。射出の際はスクリューを前に押し出すことで、溶融プラスチックを金型の中へ流し込みますが、流れた溶融プラスチックが逆流しないように「保圧」という一定の圧力をゲートに加えます。射出工程は医療現場で使用する注射器と似ているため、射出成形はインジェクション(注射)成形とも呼ばれます。

冷却・固化・離型

注射器のような射出シリンダーで金型内に注入、充填された溶融樹脂を冷却して固めることで樹脂が固化します。素材によっては冷やす時間や温度にも微調整が必要となる場合があります。冷却して固化した後は、樹脂を金型から取り出す離型工程となりますが、基本的に成形品は金型内で冷えると収縮するため、コアの部分に張り付きます。結果、離型がうまくいかず、金型内に製品が残ったまま金型が閉じてしまうと、最悪の場合、金型が破損します。こうした事態を避けるため、一般的な離型方法としてはエジェクターピン(エジェクタピンとも)による製品突き出しとストリッパープレートによる離型の2つの方法があります。エジェクターピンによる方法はプラスチック射出成形機のエジェクターロッドで金型のエジェクタープレートを押すことにより、エジェクタープレートに取り付けられたエジェクターピンが製品を押し出して金型から離型させる方法です。この方法は2プレートの金型で利用できるため、コストが安いのに加え、 エジェクターピンの部分からガスが逃げるため、ガスベントとしても機能するいったメリットがあります。ストリッパープレートによる離型は製品の外周をストリッパープレートでコアから引き抜くことで離型させる方法で、 薄肉成形品でも比較的離型が容易かつ製品に跡が残らないといったメリットがあります。

射出成形によるプラスチック成形のメリット

射出成形によるプラスチック成形のメリット

プラスチック成形で射出成形を採用するメリットをご案内します。基本的に射出成形は材料の準備→型閉じ→ 型締め→射出→冷却→可塑化→型開き→取出しの流れとなりますが、射出成形は大量生産に適しているほか、複雑形状にも対応可能といった技術的優位性があります。ほかにも仕上げ加工や後加工が少ない点や切削など他の工法より短いサイクルで製造できるため、製造コストが安い点なども射出成形のメリットです。一方、射出成形は型から取り出せない形状が一部あり、形状に制約があるほか、溶融して冷却固化で収縮が発生するため、切削加工に比べ初期の寸法精度は劣る場合がありますので、成形品の用途や予算に応じて射出成形を採用するか否かを選択する必要があります。詳しくは三光ライト工業をはじめとした専門メーカーにおたずねください。

大量生産が可能

射出成形のメリットのひとつに大量生産が可能な点があります。射出成形の金型はその品質にもよりますが、定期的にしっかりとメンテナンスすれば約100万ショットの耐久性があります。そのため、大量生産も可能で、さらに1つの金型内で同じ形状の製品を2個成形できる金型、いわゆる2個取り(セット取りとも)を使用すれば、単純に200万個ほどの成形品の製造が可能となります。ちなみに射出成形機は大きく分けて「油圧式」「電動式」「ハイブリット式」の3種類となります。

複雑形状にも対応

射出成形は高い圧力と精密な金型を使用するため、複雑な形状に対応可能であるとともに流麗な意匠面の再現性やデザイン性が高いのもメリットです。また、成形機上で閉じられた金型の中に高圧力で溶けた樹脂を注入するので、金型の転写性が非常に高まります。さらにツマミ・スイッチのような小型部品から、自動車などに用いられる大型部品まで幅広く対応可能です。

射出成形によるプラスチック成形不良の一例

射出成形によるプラスチック成形不良の一例

射出成形による成形不良の一例をご紹介します。ここではウェルドラインやボイド、バリと呼ばれる成形不良の症状を詳しくご案内します。ウェルドライン、ボイド、バリ以外にも樹脂を注入した金型を開いた際、しっかりと固まっていない部分が糸状に伸びてしまう「糸引き」、成形品の表面に樹脂が流れる方向に合わせて銀白状の筋が残ってしまう「シルバーストリーク」、溶融した樹脂が流れた跡が、成形品の表面に年輪状の波模様として残ってしまう「フローマーク」、金型の特定の部分に樹脂が充填されないまま冷却されてしまう「ショートモールド(ショートショット)」、成形品の一部が反ってしまう「反り(ソリ)」、成形品の一部が欠けていたり、細いヒビが入っていたりする「クラック(クレージング)」、金型に樹脂が射出される際に過剰に加熱され、成形品が変色してしまう「焼け(ヤケ)」など射出成形による成形不良の例は、いくつかあります。三光ライト工業はこれらの成形不良が発生しないよう万全を期していますので、安心してご依頼ください。

ウェルドライン

ウェルドラインとは、充填時に樹脂の流れの先端(フローフロント)が、金型構造内のリブやボスを起点に分岐し、その後合流する点において、スジ状にラインが出ている状態を指します。ウェルドラインは外観を損ねるだけでなく、ウェルドライン部はもろくなるため、製品の強度不足を招きます。ウェルドラインを完全に消すことは困難ですが、対策はいくつかあります。そのひとつが、樹脂を射出する際の速度や圧量を高める方法です。そのうえで早い段階で樹脂が固まってしまわないよう、樹脂の温度を高めておくことも重要です。もうひとつの対策としては金型で樹脂が流れる部分の面積を大きくする、短くする、表面を滑らかに仕上げるなど、できるだけ流動抵抗を小さく抑えるといった方法です。ウェルドラインの発生を極力避けるには、これらの対策をしながら効果を見極める必要があります。

ボイド

ボイド(boid)とは気泡のことで、厚みがあったり、厚みが不均一な形に加工する場合、厚い部分の表面だけが先に固まってしまい、あとから内部が収縮して固まることで真空気泡が発生した状態を指します。原因としては金型の温度が低かったり、射出の温度が高すぎることが考えられます。また、樹脂を注入する位置が適切ではなかったり、樹脂の乾燥が不十分で、薄い部分と厚い部分で冷却にかかる時間が均等ではなくなってしまう場合にもボイドが発生します。したがって対策としては、ケースバイケースですが金型の温度を上げ、射出の温度を下げることが重要です。また、樹脂の注入を行う位置を厚い部分に直角に射出できるよう設定したり、樹脂の乾燥を十分に行うとともに薄い部分と厚い部分の冷却時間が均一になるような工夫や微調整が求められます。

バリ

バリとは樹脂がはみ出し、不要な部分が成形品に残っている状態です。はみ出す隙間が空いてしまう原因として、樹脂を注入する金型の締め付けが緩いことが考えられます。ほかにも金型の合わせ面の精度が低かったり、樹脂の温度が高すぎるとバリが発生します。射出速度が速すぎるのもバリの原因のひとつです。対策としては締め付けの圧力を高めるのが効果的です。また、金型の合わせ面部分の精度を上げたり、樹脂温度を下げるといった微調整が求められます。あわせて射出速度を調整することも重要です。

射出成形で使用するプラスチック樹脂

射出成形で使用するプラスチック樹脂をご紹介します。射出成形で使用するプラスチック樹脂は多岐に渡りますが、大きく熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂に分類されます。射出成形の場合、熱硬化性樹脂が使用される機会は限定的で、ほとんどが熱可塑性樹脂が材料に用いられます。ここでは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違いを解説します。

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂は射出成形でひんぱんに使用される素材です。可塑性とは、固体に力を加えて変形させたとき、その力を除いても元に戻らない性質で、加熱により可塑性が出ることを熱可塑性と呼びます。三光ライト工業ではPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂の総称)、PMMA(アクリル樹脂)などの熱可塑性樹脂を使用し、さまざまな成形品を製造しています。

熱硬化性樹脂

熱熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と違い、一度加熱し成形してしまうと再加熱しても液化しないので元には戻りません。したがって一度成形してしまうとリサイクルや再利用するのが難しいため廃棄するのが一般的です。この点が熱硬化性樹脂の最大の欠点ですが、一方で耐熱性・耐薬品性・耐候性・接着性・耐摩耗性・硬度が優れているほか、樹脂相互の相容性、混和性がよく、相互に反応し合うので家電用部品、工業用部品、機械部品、食器、コンセントなど、主に工業製品に幅広く利用されています。射出成形での使用機会は限定的ですが、圧縮成形やトランスファー成形などでは度々使用されています。

射出成形によるプラスチック加工は三光ライト工業にお任せください

三光ライト工業は高度な射出成形技術でお客様に低価格、短納期で高品質の成型品をご提供します。弊社は国内の拠点工場に全自動制御射出成形機(型締め力360t、180t)、3次元測定器、高機能マシニングセンター、フライス盤などを複数所有し、充実の装置群でお客様のご要望にお応えします。なお、型締め力とはその名のとおり、金型を締め付ける力のことです。また弊社は成形品だけでなく金型も自社製作(真空成形金型は除く)していますので、試作から量産に至るまで柔軟かつ迅速に対応させて頂きます。さらに弊社は真空成型や異材を組み合わせた2色成型、LIM成型、インサート成形といった各種工法でも豊富な実績があります。真空成形は射出成形と違って凸型(雄)あるいは凹型(雌)いずれかの金型で成型できるため、型費が抑えられるといったメリットがあります。インサート成形については縦(竪)型は成形時間内にインサートや取出を行えるといったメリットがあるため、インサート成形メーカーの多くは横型よりも縦(竪)型成形機を使用する傾向にあります。なお、弊社はブロー成形、中空成形、押出成形(インフレーション法)は対応しておりませんのでご了承ください。弊社は素材についても豊富な知見があり、前述した熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、スーパーエンプラなどについても研究に取り組んでいます。また、弊社は「アッセンブリ(組立加工)」も可能なメーカーであり、プラスチック成形品の製造だけでなく、塗装、印刷などの二次加工はじめ簡単なアッセンブリやパッケージ品や組み立ても承ります。さらに金属部品の圧入も得意としており、独自のノウハウを有しています。圧入とはインサートナットなどに熱を加えて専用の治具や圧入装置を使って挿入する技術です。圧入加工は板金加工のひとつで、溶接などと比べて歪みなどが少なくきれいに仕上がるため、接合部に痕跡を残したくない部材や見た目が重視される部品などに用いられます。弊社は成型不具合の改善事例も豊富に有していますので、何でもご相談ください。ご連絡お待ちしています。

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