バイオマス材料への取り組み
生物由来のバイオマス材料を使うことによって化石燃料の使用が減り温室効果ガスである二酸化炭素の排出を抑えて地球温暖化防止に寄与します。カーボンニュートラルの実現に寄与し、天然資源の枯渇を抑え、環境悪化の防止に貢献します。弊社は2006年よりCO2削減と環境悪化抑制のために植物由来のバイオマス材料やバイオマス材料混合プラスチックの応用に積極的に取り組んできました。その事例を紹介します。
目次
植物由来のバイオマスプラスチック材料と漆合成UV塗料
2010年に栽培作物のトウゴマの種から抽出したひまし油原料のバイオプラスチック、フランスアルケマ社のリルサンを使い、漆を原料として合成したUV塗料で加飾したトレイや携帯電話を模した製品をK2010(ドイツ、デュッセルドルフ)に展示しました。漆合成UV塗料は天然の漆材を65%含有し漆が持つ深い質感を自動塗装ラインで1回塗布で再現するように改良した塗料です。
K2010 アルケマ株式会社のブースで展示品
- アルケマ社のブースでの展示風景
- 名刺ケース
- トレイ
バイオ塗料
塗料は、福島県との共同開発のUV塗料で漆を65%含有するバイオ合成塗料です。1回塗りで本漆と同等の風合いが出ます。
- 蒔絵はいずれも本蒔絵で作製。
- 漆UV塗料の特徴:エラストマーに塗装して曲げても割れません。
バイオマスベース・エラストマーのプレート(K2010 展示)。エラストマーもトウゴマ原料のひまし油95%から合成したバイオマス材料です。
メディア掲載:植物由来ポリマー・複合材料の開発
また、2011年12月に発行された「植物由来ポリマー・複合材料の開発」サイエンス&テクノロジー株式会社発刊に、弊社の製品が掲載されています。
産業用途向けにはヘラマンタイトン(株)が結束バンドにポリアミド11を採用し,環境配慮製品(エコシリーズ)として2008年から市場展開している。植物由来プラスチックであることだけではなく,従来用いられているポリアミド66(石油由来)と比較して柔軟性,耐衝撃性が高く,低吸水性で,自動車用途で特に要求される耐塩化カルシウム性にも優れていることが採用の決め手となった。
繊維用途では,ユニチカファイバー(株)が2008年6月にポリアミド11繊維(製品名 キャストロン®︎)の製品化に成功した。自動車用途,スポーツ・レジャー用途だけでなく,産業用途にも積極的な用途開発を行っている。ポリアミド11は1950年代の開発初期段階で繊維化が検討され商品化にまで至ったがポリアミド66の台頭によって開発が衰退した経緯を持つだけに,低環境負荷というトレンドがポリアミド11繊維の製品化の復活を後押ししたことは興味深い。現在複数の繊維メーカーで商品化の検討が進められている。
一方,ポリアミド11の成型品への加飾技術の例として,同じく植物由来材料である漆をコーティングする技術が福島県自然素材活用協議会,福島県ハイテクプラザ,杉島塗料,三光ライト工業の共同プロジェクトによって開発されている。この技術では蒔絵を施すことも可能であり(図6),高度な審美性を植物由来の材料のみで達成することが可能であることが示された。
このように、ポリアミド11の場合,エンジニアリングプラスチックとして過去50年以上にわたって開拓されてきた用途に加え,新たに植物由来エンジニアリングプラスチックとしての市場が確実に形成されつつある。表1に代表的なポリアミド11の物性を脂肪族ポリエステル植物由来プラスチックおよびポリプロピレンと比較してまとめた。高い機械的物性と耐加水分解性から,ポリアミド11が植物由来エンジニアリングプラスチックといわれる理由が理解されるだろう。また,図7には樹脂1d㎥の生産から排出されるCO2量と地球温暖化係数(GWP)の相対値を示した。ポリアミド11が他のエンジニアリングプラスチックと比較して環境特性に優れた材料であることがわかる。
図:ポリアミド11にUV漆塗料コーティングを用いて会津色譜漆の加飾を施した成型品
『植物由来ポリマー・複合材料の開発』 サイエンス&テクノロジー株式会社、2011年12月22日発行より抜粋
サイエンス&テクノロジー株式会社、2011年12月22日発行より抜粋 P136
バイオマスプラスチックの実用化例
2020年より、アルケマ社のバイオマスプラスチック、リルサン(トウゴマ原料)をベースとして、ケーブルカットツールの材料として採用され生産を行っています。(バイオ率40%)
植物由来のバイオマスエンプラ材料
植物由来原料であるイソソルバイドを使用したバイオマスエンプラで、スマートフォンカバーを製造し、2015年には量販店で販売されています。(エクスペリアZ5用)
石灰石、紙、米粉を混合したバイオマスプラスチック材料
2019年からは、PPをベースに、石灰石、紙、米粉を混合したバイオマスプラスチックの試作成形を行い、弊社独自の評価をも行っています。植物を原料とした材料や天然鉱物を混合することにより、資源の枯渇を抑制し、温室効果ガスの削減に寄与します。
- 石灰石含有のPP 成形可否の確認をメーカーから依頼され実用化
- 紙51%含有のPP CDケースでヒンジ特性を確認
- 米粉(非食用)51%含有のPP。成形可能確認
バイオマス材料に関するご相談について
バイオマス材料の検討につきましては弊社営業技術部にご気軽にご相談して下さい。電話でもメールでも受け付けております。バイオマス材料については弊社は2006年から取り組んでおり、長年の経験、ノウハウを活かして顧客様の要求を最大限満足できる最適な提案をさせて頂けると思います。弊社は製品設計から金型製作、試作、量産まで自社一貫生産で手掛けております。詳細な図面を頂かなくても概略図や構想イメージから製品を具現化することには多くの実績があり顧客様から高い評価を頂いております。