ゴム射出成形について
ゴム射出成形(インジェクション成形)について解説します。ここではゴム射出成形とはどのような技術であるのかをわかりやすくご説明するとともに、ゴム射出成形の工程や発生する不良現象についてもご案内します。あわせて射出成形以外のゴムの成形・加工方法もご紹介します。
目次
ゴム射出成形とは

ゴム射出成形(インジェクション成形)とはその名のとおり、射出成形でゴムの成形品を製造する技術です。射出成形というと熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを材料に使用して成形するのが一般的ですが、ゴムを射出成形した製品も多数あります。ゴム射出成形のメリットとしては、金型を作成すれば複雑な形状を含めたさまざまな形状を製造できるほか、金型の連続使用が可能となります。また、後加工がほとんど必要ないのに加え、大量生産や生産の自動化が容易、製品あたりの単価を抑えられるといったメリットもあります。一方、ゴムの射出加工は金型の製作が必要となるため、初期費用が高い、製造工期が長いのが難点です。また、小ロットや少量生産に向いていないといったデメリットがあります。
ゴム射出成形の工程
ゴム射出成形の工程をご案内します。ゴム射出成形は一般的に「素練り」「型締め」「射出」「保圧(加硫)」「型開き」「製品取出し・仕上げ」などの工程を経て成形されます。ここでは「素練り」「型締め」「射出」「保圧(加硫)」「型開き」「製品取出し・仕上げ」のそれぞれの工程について詳しく解説します。
素練り
原料である合成ゴム生材料は粘土のような手触りであり、そのままでは弾性、弾力のあるゴムにはならないため、架橋剤や機能を付与する充填剤を加えて練り加工を行う必要があります。架橋剤や充填剤を加えることで、ゴムは本来の弾性が高まり成形材料となります。ちなみにゴム練り加工の主な手順ですが、まずは素練りと呼ばれる工程があります。素練りとは、ゴム材料をそのまま機械で練ってゴムの分子鎖を切断する作業で、素練りによりゴム材料が軟らかくなり、後の工程で加えられる添加剤などの薬品が均一に行き渡り、金型に流し込みやすくなります。素練りに続いて、混錬と呼ばれる工程があります。混錬とはゴム材料に加硫剤などを加え、錬ニーダー機やロール機で練り合わせる作業で、ゴム材料に加硫剤や添加剤などを加え、練り込む工程です。成形品の品質や特性は、材料とこれらの薬品の配合バランスが極めて大きく影響するため、混錬は重要な作業となります。なお、着色したゴム成形品を製造する場合には、混錬の段階で顔料を追加して色味を調整する作業が必要です。そのうえで練り合わされたゴム材料は、ロール機からシートの形状になって出てきますが、つくりたい製品に合わせた厚みに整えた後、金型や構造に合う大きさに切断する必要があります。
型締め
型締めとはその名のとおり、金型を締める作業です。なぜ型締めが必要かというと、金型内にゴムを入れ単純に金型を閉じるだけでは、金型内に入ったゴムの充填圧力や保圧などによって金型が開いてしまうためです。そのため金型のキャビティ部が開かないように強い射出圧力をかけます。なお、射出成形機の能力を示す指標として「型締め力」があります。型締め力とは、文字通り、金型を締め付ける力を指すもので、その力が180tであれば型締力180tとなります。型締め力の値が大きければ大きいほど、その射出成形機が金型を締め付ける力が強いことになります。型締め作業は高圧がかかるため、場合によっては金型が破損してしまうことがあります。そのため、金型によっては保護機能がついています。金型が正確かつ適正に締められることで、ゴムが型の隙間から漏れ出なくなるとともに製品の寸法精度が高まります。
射出
型締めされた金型にゴムを射出する工程です。射出をめぐっては、射出成形機の設定や成形条件が適切でないと、後述するヒケ(バックラインディング)やショートショット、ウェルドラインなどの成形不良が発生してしまうため、最大限の注意が必要です。
保圧(加硫)
ゴム成形には金型を使う方法と、金型を使わずゴムを直接加工する方法がありますが、圧縮(コンプレッション)成形などの金型を使用した成形の場合は、まず金型を予熱する作業が必要です。新たに製作した金型、または保管してあった金型に離型剤を塗布した後に、あらかじめ熱を加えておきます。金型が既定の温度に達したら、ゴム材料を入れます。金型にゴム材料を入れたら加熱し、圧力をかけて成形、保圧します。圧力をかけて加硫することで、圧力をかけない場合と比べてゴムの物性が向上します。
型開き
ゴム製品が冷却され、固化した後、金型が開かれます。これを型開きと呼びますが、型が開く速度や角度によっては製品の品質に悪影響が及ぶため、型開きは慎重に制御されながら進められます。製品が型から安全かつ効率的に取り出されるように、金型の開き方は設計段階から慎重さが求められます。
製品取出し・仕上げ
成形が終わったゴム成形品は、バリと呼ばれる不要な部分が付いた状態で取り出されます。
取り外した金型は、清掃した後に錆抑制の処置をして保管するのが一般的です。バリ取りなどの仕上げ作業の主な方法としては「手仕上げ」「抜きポンチ」「抜き仕上げ型」の3つがあります。手仕上げは、その名のとおり、仕上作業者が手作業で製品からバリを除去する方法です。喰い切りを手で引っ張って製品からバリを除去して仕上げます。手仕上げで仕上げる場合、金型には喰い切り溝の設定が必ず必要になります。一方、抜きポンチは製品形状に合わせた抜きポンチを製作し、抜きポンチの刃で製品とバリを分離させる方法です。この場合、抜きポンチの刃で製品とバリを分離させるため、金型に喰い切り溝を設計する必要はありません。もうひとつバリの分離方法としては抜き仕上げ型があります。抜き仕上げは、専用の抜き仕上げ型を製作して製品とバリを分離する方法です。
ゴム射出成形品の用途
ゴム射出成形品の用途をご案内します。ゴム射出成形品は極めて多岐に渡り、一例を挙げると、機器部品・産業用部品・パッキング・大量生産品・OA 機器部品など幅広い用途に活用されています。ゴムの射出成形は後述する他の成形法と比べると設備、金型などは高くつきますが、材料供給を自動化すれば無人化も可能です。また、射出成形は生産性が高く精度も安定した優れた成形法のひとつです。
ゴム射出成形で見られる不良

ゴム射出成形で見られる不良現象や不具合をご紹介します。ここではヒケ(バックラインディング)、ショートショット、ウェルドライン、エア、発泡、欠け、異物混入、バリカミのそれぞれの現象や発生原因、メカニズムなどを解説します。
ヒケ(バックラインディング)
ゴム射出成形で見られるヒケ(バックラインディング)とは、型割部やゲート部が変形、具体的には凹みや盛り上がりが出てしまう現象です。キャビティに材料が充填された後も過剰な成形圧力がかかり続けると、型割部やゲート部付近の加硫しかけた材料が無理やり動かされ、その部分に融合不良や収縮差による変形が起きます。ヒケを防ぐには加硫している間の圧力である成形圧力を抑える必要があります。
ショートショット
ゴム射出成形不良のショートショットとはキャビティに材料が充填されていないときに起きます。ショートショットが慢性的に発生している場合は、成形圧力不足が主な原因です。ほかにもゲート位置形状や設置数が不適切、材料重量、材料仕込位置、材料仕込形状が不適当、材料の流動性が悪いことなどが原因と考えられます。こうした場合、成形条件や設備、金型仕様などを見直す必要があります。一方、ショートショットが突発的に発生する場合は、材料スコーチによる流動性の悪化やゲート詰りが原因と考えられます。したがって症状を改善するには材料のスコーチ具合、金型の確認などが効果的です。
ウェルドライン(融合不良)
ゴム射出成形のウェルドラインは、材料不足が主な原因で、融合部に圧力が加わらず密着不良が起きた状態です。また、圧力がかかっていても離型剤や仕込材表面に析出した薬品が融合面に集まり融合阻害を起こす場合があります。融合阻害を起こしているもの、たとえば離型剤、配合薬品などが原因の場合は、それらを見直す必要があります。
エアー
ゴム射出成形不良のエアーとは、製品内部や表面に膨らみが出た状態です。エアーが発生するのは、製品形状や型割位置などにより、キャビティ内の空気や材料から発生したガスが抜けず膨らんでしまうためです。したがってエアーの発生を防ぐには、成形条件の調整や金型構造の見直しが必要です。また、場合によってはエア発生部にエア逃がしの形状を追加すると効果が高まります。
発泡
ゴム射出成形の不具合のひとつである発泡とは、エアーと同様、製品内部や表面に膨らみが出るものです。発泡が発生しやすい箇所としては、金型温度が伝わりづらい肉厚形状内部や材料が金型に入るタイミングが遅いゲート付近です。発泡を防ぐには金型温度を上げたり、加硫時間を延長するといった対処法があります。
欠け
欠けはその名のとおり、ゴム射出成形品が欠損、破損している状態で、割れ、破れ、裂けとも呼ばれます。高温時のゴム材料は室温の時より伸びが短くなっており、脱型時の変形により破損しやすい状態にあるので注意が必要です。特に無理抜きになっている部分や応力集中しやすい部分は、破損のリスクが高まります。こうした場合は材料や成形条件を変更する必要があります。また、金型の調整や離型剤などを使用するのも効果的です。脆いゴム材料を使用している製品では喰い切り仕上げが安定せず製品の一部が抉られてしまいます。脆い素材を使用している場合は、手仕上げから抜き仕上げなど別の仕上げ方法へ変更することが重要です。
異物混入
ゴム射出成形の不良である異物混入は製品表面や内部に異物が入ってしまっている状態です。異物が混入する経路としては、配合資材そのものに異物が混入しているケース、混練り時に混入したケース、混練後に材料表面に付着したケースの3つが考えられます。したがって異物混入を防ぐには作業環境の改善が大前提となります。
バリカミ
バリカミは前述したバリが製品に混入している状態です。バリカミが起きる原因としては、まずは金型の清掃不足が考えられます。ほかにも金型内に残っていたバリや他の成形工程から飛来したバリがキャビティ内に入り込んだ可能性があります。したがってバリカミを防ぐには異物混入の時と同様、作業環境の改善に加え、金型清掃手順の見直しが必要です。
射出成形以外のゴム成形・加工方法
射出成形以外のゴム成形・加工方法をご紹介します。ここでは圧縮成形(コンプレッション成形)、圧入成形(トランスファー成形)、押出成形、切削加工、ウォータージェット加工、接着加工のそれぞれの内容などを解説します。
圧縮成形(コンプレッション成形)
圧縮成形(コンプレッション成形)はあらかじめ目的の形状に作成した金型にゴム素材を入れ、上下から金型でプレスして一定時間、加熱・加圧する成型方法で、ゴムの成形方法としては極めて一般的な方法です。圧縮成形はその工程内容から「べた押し」とも呼ばれます。圧縮成形は、金型の製作費用を抑えめにできるほか、大型の肉厚製品の成形に適している、少ロットや少量生産に対応しやすいなどのメリットがあります。一方でバリが多く出やすいので仕上げには一定の工数がかかります。圧縮成形によるゴム製品としてはパイプ、ホース、チューブ、パッキン、シール材、保護・緩衝材・ゴム被覆電線・ベルトなどがあります。
圧入成形(トランスファー成形)
圧入成形(トランスファー成形)は合成ゴムを金型上部のポットに入れ、加熱・加圧することで金型に充填して成形します。圧入成形のメリットとしては、成形品の寸法精度が得やすいうえ、複雑な形状の成形品に対応できるのも強みです。金属の埋め込み、いわゆるインサートを行う製品にも幅広く採用されています。一方、型代が高くなる傾向があり、スクラップの量も多くなります。圧入成形品の用途としては、精密機器用部品、工業・産業用部品、OA 機器部品、金具インサート品などがあります。
押出成形
ゴムの押出成形とは、スクリューやプランジャーなどを用いて押し出したゴムを、ところてんの要領で断面形状を連続して成形する加工方法です。まず押出機と呼ばれる機械にゴム素材を投入し、シリンダで加熱・溶解を行います。次に溶解して流体となったゴムをシリンダからダイに押し出します。ダイの口径が丸であれば丸棒状、四角であれば細長いブロックのような形、薄い長方形であればシート状に成形が可能です。ゴムを押出し成形で加工するメリットとしては、表面が滑らかに仕上がる、切削加工で発生する切りくずが出ない、多数の製品を連続して製造できる点などが挙げられます。加えて長いひも状のゴム成形が可能になるうえ、初期投資も安価に抑えられます。ただし、押出し成形は小ロットの製造や、微細な精度を要求される製造には向いていないので、製品によっては採用できません。
切削加工
ゴムの切削加工とはゴム素材をフライスや旋盤で加工したり、あるいは手作業で直接切削して目的の形に仕上げる加工方法です。切削加工品は、大量生産は出来ませんが、わずか1個から少ロットのゴム製品を作りたい場合などに適した加工法です。また、金型を使わずに初期コストをなるべく抑えたい場合には最適です。また、納期が迫っており、金型を起こしている時間がない場合などには切削加工が妥当といえます。
ウォータージェット加工
ウォータージェット加工は、勢いよく噴射された水の圧力でゴムの切り出しを行う加工方法です。材料や厚みにもよりますが、プレス加工やプロッター加工などでは再現できない形状にも対応できます。切り欠き部に刃物Rが付かない点もウォータージェット加工ならではのメリットです。
接着加工
ゴムの接着加工は接着剤や両面テープ、加硫接着(焼付)などの方法を用いてゴム同士やゴムと金属などを接合する加工方法です。ゴム接着加工品の一例としては、シリコンゴムをスポンジで挟んで接着したシリコンスポンジ、シリコンゴムを加硫接着したテーブルなどのコーナー、シリコンゴムを接着したコの字コーナー、ゴムシートや複合素材シートと鉄をライニング処理したダクト内部ライニングなど様々な用途があります。
射出成形やLIM成形は三光ライト工業にお任せください
三光ライト工業は高度な射出成形技術でお客様のあらゆるニーズにきめ細かく対応します。弊社は成形品だけでなく射出成形の金型も自社工場で製作しています。金型から成形品に至るまで一貫製作することで低価格かつ短納期を実現します。また弊社は射出成形のみならず真空成形や2色成形に加えてLIM成形といった特殊技術も有しています。LIM(Liquid Injection Mould)とは成形シリコーンを含む2種類の液体を金型内に注入し、中で化学反応により固化し自由な形状のシリコーン製品を製造する工法です。LIM成形は材料が液体なので自由な形状の製品を作ることができるのに加え、コンプレッション成形に比べて寸法精度に優れ、精密部品に適しています。弊社はLIM成形が持つ様々な強みを最大限に活かし、高精度のLIM成形品をご提供します。ご連絡お待ちしています。



