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射出成形の抜き勾配について

射出成形の抜き勾配について

射出成形の抜き勾配について解説します。ここでは射出成形金型の抜き勾配とはどのようなものであるかをご案内するとともにその目的(スムーズな離型、成形不良の防止、金型の保護、生産効率の向上)についてご説明します。また、射出成形の抜き勾配角度(シボ面の抜き勾配、リブの抜き勾配、低い立壁)について解説するとともに射出成形における抜き勾配とテーパーの違いや抜き勾配に起因する不良(バリ、白化、スレ)についてご案内します。

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射出成形金型の抜き勾配とは

射出成形金型の抜き勾配とは

射出成形金型の抜き勾配とは何かをご説明します。射出成形の抜き勾配とは、成形品を金型からスムーズに取り出すために、金型の抜き方向に対して設けるわずかな傾斜のことです。一見、垂直に見える製品の側面も、実際には1°や2°といったわずかな角度が付けられています。このわずかな傾斜が、成形プロセスにおいて極めて重要な役割を果たします。この傾斜が成形品を金型から抜くために必要な勾配、角度です。射出成形金型には固定側(キャビティー)と可動側(コア)があり、射出成形機に金型を乗せ、樹脂を充填して冷却した後、可動側を動かすことで成形品を取り出す仕組みになっています。製品を取り出す際、金型に適切な抜き勾配が設計されていれば、型と製品にわずかな隙間が生じるため、後述のとおり、スムーズな離型が可能となり、さまざまな成形不良を回避することができます。

しかし、金型の抜き勾配が不十分だったり、そもそも抜き勾配が無い場合は、樹脂の収縮によって成形品が金型に張り付いてしまう場合があります。そのためエジェクターピンと呼ばれる部品で押し出す際に、成形品に無理な力がかかり、押し出し部が白化するなどの不良が発生してしまいます。金型に抜き勾配が無いと、場合によっては成形品を突き破ることもあるため、できるだけ角度の大きい抜き勾配が必要です。製品形状によっては、型構造的には抜き勾配のないストレート面(抜き勾配0度)となり、アンダーカット扱いとなります。そのため多くの場合、スライド機構が必要となります。なお、成形品を金型から押し出す方法はエジェクターピン以外にもいくつか方法があります。一例を挙げると、成形品の全周をプレートで突き出すプレートノック、円筒形の成形品などに用いるリング状のスリーブで突き出すスリーブノック、成形品のエッジの一部をブロックで突き出すバーノック、空気圧によるエアーノックなどです。

射出成形の抜き勾配の目的

射出成形金型の抜き勾配の目的をご案内します。前述のとおり、射出成形金型に抜き勾配を設計するのは、成型品をスムーズに離型するためです。ほかにも抜き勾配には、成形不良の防止や金型の保護、生産効率の向上などの目的があります。ここではスムーズな離型、成形不良の防止、金型の保護、生産効率の向上のそれぞれの観点から抜き勾配の目的、役割を解説します。

スムーズな離型

射出成形金型の抜き勾配の主たる目的はスムーズな離型です。前述のとおり、スムーズに離型出来ない、いわゆる離型抵抗があればあるほど成形品には様々な悪影響が及びます。そのため射出成形金型には適切な抜き勾配が不可欠です。抜き勾配の適切な角度については詳しくは後述しますが、設定箇所にもよりますが、一般的な抜き勾配の推奨角度としては、キャビティで1°以上、コアで0.5°以上、リブ・ボスで0.5°程度、シボ面で最低3°、意匠面(表面)で5°以上といわれます。上記の角度はあくまで目安で、成形条件や金型の機構、製品形状、成形材料、表面処理、さらにはシボの有無などによって求められる角度は多少前後します。勾配が少ないとスレや白化、トラレなどの原因となりますので、適切な勾配設定が重要です。

成形不良の防止

射出成形金型の抜き勾配の主たる目的は、スムーズな離型ですが、成形不良の防止においても極めて重要です。適切な抜き勾配が無い場合、成形品を取り出す際、金型に引っかかってしまいます。強い摩擦が生じると、成形品に擦り傷や白化、変形といった外観不良が発生します。これは外観を重視する意匠製品であれば致命的であり、大幅な品質低下を招きます。抜き勾配はこれらの不具合を回避するために不可欠です。

金型の保護

射出成形金型の抜き勾配は金型を保護する役割もあります。適切な抜き勾配が無い場合、金型と成形品の離型抵抗が強まるため、つねに固着して摩擦が生じてしまい、成形品はもとより金型にも一定のダメージが及び摩耗します。最悪の場合、金型の破損を招いてしまいます。射出成形金型はその構造にもよりますが、製品によっては極めて高価であり、金型の破損はコスト面で多大なインパクトとなります。こうした事態を避けるためにも射出成形金型には適切な抜き勾配の設計が極めて重要です。一方、適切な抜き勾配は、金型への物理的な負荷を大幅に軽減するため、金型のメンテナンス頻度を下げる効果があり、結果として金型の寿命を延ばすことになります。

生産効率の向上

射出成形金型の抜き勾配は生産効率を向上させるためにも必要です。抜き勾配が無いと、製品と金型がスムーズに離型されず、製品の取り出しに支障をきたします。結果、サイクル・タイム(サイクルタイム)が伸びてしまい、生産効率が悪化する場合があります。一方、抜き勾配が適切であれば製品がスムーズに金型から離れるため、突き出しにかかる時間が短縮されます。この数秒の差が、特に大量生産においては大きな生産性向上に繋がます。あわせて、製品単価の低減に大きく貢献します。

射出成形の抜き勾配角度

射出成形の抜き勾配角度について解説します。ここではシボ面の抜き勾配、リブの抜き勾配、低い立壁の3つの場合の射出成形の抜き勾配についてご案内します。射出成形の抜き勾配角度については、厳密な数値は決まっていませんが、概ねの値はあります。抜き勾配の角度は、離型性を最優先すればできる限り大きな角度を付けたいところですが、付けてよい最大角度が製品図にあります。設計者が意図しない抜き勾配の織り込みは、製品形状が変わってしまうため、場合によっては相手物との干渉の可能性も高まります。また、寸法公差の範囲内に収まるように抜き勾配を設定しなければならない場合もあります。離形のためには抜き勾配の付加は必要ですが、製品図の指示、寸法公差などの制約があり、必要角度が取れない場合もあります。そういった場合は、離型性より寸法が重視される傾向があります。なお、抜き勾配を0にすることも理論上は可能となります。例えば、勾配0に対応できる材質を使えば可能です。また、冷却時間を長くして金型で強制的に抜く構造を採用する方法もあります。

シボ面の抜き勾配

シボ面、シボ加工の場合、抜き勾配は最低3°といわれます。意匠面の側面にシボ加工を設定する際、シボが深いとスレなどの離型不良の原因となります。そのため抜き勾配を大きく取るか、シボを浅く設定するかの調整が必要です。設計段階から製品形状、シボの種類、シボの深さなどの条件を確認し、慎重な勾配の設定が求められます。また、シボの深さによって少ない勾配では意匠面の側面と金型がうまく離型できず、不良が発生する場合があります。シボ加工の際は最適な抜き勾配を設定することで、スムーズな離型が可能となります。

リブの抜き勾配

リブの抜き勾配は0.5°程度となります。リブの抜き勾配角度設定は多くの場合、先端寸法をキープ、先端基準で製品本体に向けて太くなる方向で勾配を取ります。その際、製品本体との結合部分の板厚が厚くなり意匠面にヒケが発生する可能性が高まるので注意が必要です。外観上ヒケは抑えたいのですが、抜き勾配が無いとリブが抜けません。ヒケと抜けのバランスを取って角度を設定することが重要です。

低い立壁

低い立壁の場合、大きな抜き勾配角度が必要になります。低い立壁は離型抵抗になることがあり注意が必要で、立壁が高いと少ない角度でも距離が作れますが、高さが低いと距離の差が出ないため、大きな抜き勾配角度が求められます。出来る限り大きな抜き勾配を付けて上と下の距離の差をつくり、離型抵抗を減らすことが重要です。

射出成形の抜き勾配とアンダーカットについて

射出成形金型の抜き勾配は、金型の保護に効果があるため、型費用の軽減につながります。そしてアンダーカットも射出成形金型のコストに大きく影響する要素のひとつです。アンダーカットとは金型を単純に開閉するだけでは取り出せない引っかかり部分を持つ形状です。製品の側面にある横穴や凹み、内側を向いたフック形状などがアンダーカットとなります。金型が開く方向、いわゆる抜き方向に対して、影になる部分ともいえます。このアンダーカット形状を成形するには、金型に特殊な機構が必要です。その代表的なものがスライドコアで、スライドコアは、金型が開く前に、油圧や機械的な仕組みで横方向や斜め方向に動き、引っかかり部分を製品から退避させるための可動部品となります。 アンダーカットが1つ存在するだけで、金型設計は大幅に複雑化します。また、スライドコア本体だけでなく、それを動かすための油圧シリンダーや傾斜したピン、可動部を正確に位置決めし支えるためのガイドレールなど、多くの追加部品が必要になります。そして、これらの複雑な部品を一つひとつ精密に加工し、高温高圧の環境下でスムーズかつ正確に動くように調整するには、膨大な時間と高い技術が不可欠となります。また、樹脂の流入速度や方向のコントロール、逆流防止、圧力調整といった役割を担うゲートや射出成形機から金型へ溶融プラスチックを送り届ける経路となるランナーなども不良対策のポイントとなります。

射出成形における抜き勾配とテーパーの違い

射出成形における抜き勾配とテーパーの違いをご説明します。抜き勾配とテーパーは混同されがちですが、厳密には異なります。抜き勾配は前述のとおり角度を示すのに対し、テーパーは製品の斜面にできる傾斜を意味します。なお、テーパー角度とは両側の傾きによってつくられる角度のことを指します。このように抜き勾配とテーパーは、似て非なるものであるため、設計の段階でよく確認したうえで、加工することが重要です。

射出成形の抜き勾配に起因する不良

射出成形の抜き勾配に起因する不良をご案内します。抜き勾配に起因する不良は多岐に渡りますが、ここではバリ、白化、スレ、トラレのそれぞれの症状や対策などについて解説します。抜き勾配が不足すると成形品全体に無理な力がかかるためバリや白化、スレ、トラレ以外にも意図しない反りやねじれといった変形、あるいは薄いリブや壁の破損など様々な不良が発生します。また、成形品を金型から取り出す際に、金型を2つまたは3つに分割しますが、この金型の分割されるラインがパーティングラインです。パーティングラインの設定は製品の見た目や品質、金型の寿命に大きく影響するため、どこにパーティングラインを置くかは重要なポイントです。パーティングラインは成形不良対策と密接に関係するため、適切なパーティングラインの設定が不良対策には不可欠となります。

バリ

射出成形のバリは金型の合わせ面や突き出しピンなどの隙間から樹脂が溢れる現象で、成形品の形状からプラスチックがはみ出した状態です。金型から製品を抜く際に、抜き勾配が不十分だと製品が金型に引っかかります。無理に剥がそうとすると、製品の一部がちぎれてバリとなる場合があります。また、 抜き勾配がないと、金型に製品が張り付いてしまい、離型しにくくなります。その際、無理に引き剥がそうとすると、金型にスジ傷がついたり、成形品に傷がついたりする原因となり、これがバリになる場合もあります。

白化

射出成形の抜き勾配に起因する不良としては白化があります。抜き勾配が無いと、離型時に製品に無理な圧力がかかります。そのうえでエジェクターピンが製品を突き出すため、その部分に過大な力が集中し、白く変色する現象です。場合によっては、その部分が凹んだり、さらに悪い場合はエジェクターピンが製品を突き破ってしまうこともあります。

スレ

スレも射出成形の抜き勾配に起因する不良のひとつです。金型と成形品が擦れて傷がつく現象で、大きな抵抗に逆らって無理やり突き出すため、製品の側面が金型に擦れて深い擦り傷がついてしまいます。これは特に外観品質が求められる意匠製品などにおいては、致命的な欠陥となります。

トラレ

トラレは射出成形の抜き勾配に起因する不良のひとつで、金型の固定側(キャビティ)に成形品が固定されてしまい、取り出せなくなってしまう現象です。成形品が固定されてしまうと離型が困難になるのはもちろん、スレや白化など他の不良を招くリスクが高まります。これらの不良、不具合を回避するためにも適切な抜き勾配の設計が極めて重要です。

プラスチック樹脂射出成形は三光ライト工業にお任せください

プラスチック樹脂射出成形は三光ライト工業にお任せください

プラスチック樹脂射出成形は三光ライト工業にお任せください。弊社は成形品のみならず射出成形金型も自社工場で製作しています。金型から成形品まで一貫対応することでお客様のニーズにきめ細かく対応致します。弊社の製品群はジェッティングやウェルドラインなどの不良を最大限排除した高精度製品としてご好評頂いています。弊社の射出成形専用金型製作拠点は中原工場にあります。同工場には、マシニングセンターやNC加工機、細穴加工機、フライス盤、平面研削盤、成形研削盤、レーザー溶接機、精密高速旋盤、直立ボール盤、3次元CAM、3次元CADなど最新鋭の様々な精密設備や工作機械を保有しています。成形品のみならずパーティングラインや流動解析など金型やプラスチック成形に関することであれば何でもご相談ください。弊社は型締め力360t級や180t級の最新鋭全自動射出成型機を揃えています。このように金型の設計、製作から成形品の完成に至るまで一貫製作することで、コストダウンや納期の短縮を実現するとともに、製品デザイン変更のご要望などにも最大限柔軟に対応可能です。射出成形のほかにも真空成形やインサート成形、2色成形、LIM成形などにも幅広く対応します。なお弊社は切削加工、金属加工、ブロー成形は対応しておらず、簡易金型の取り扱いはございません。厚肉、薄肉、複雑形状、大量生産、多品種小ロットなどプラスチック成型品であれば何でも弊社にお申し付けください。ご連絡お待ちしています。

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