射出成形の圧力について
射出成形の圧力について解説します。ここでは射出成形の圧力の役割(樹脂の流動性/粘性確保、製品の寸法精度、製品の強度や外観向上)をはじめ、圧力の種類(射出圧力/一次圧力、保圧/二次圧力、背圧)、圧力をかける際の注意点、圧力・速度が原因で発生する不良(ショートショット、ジェッティング、バリ、ヒケ、ボイド、ソリ)をご案内します。さらに充填圧力以外の成形条件(樹脂温度、金型温度、射出速度、充填圧力、冷却時間、計量位置、速度-保圧切り替え位置、スクリュー前進位置、スクリュー回転数、スクリュー背圧、金型開閉速度、型締め力、突き出し速度、突き出し回数)についても解説します。
目次
射出成形の圧力の役割

射出成形の圧力の役割を解説します。射出成形で圧力が果たす役割はさまざまですが、ここではその中から樹脂の流動性(粘性)確保、製品の寸法精度、製品の強度や外観向上に着目して、それぞれの役割をご紹介します。
樹脂の流動性(粘性)確保
射出成形では材料となる熱可塑性樹脂を含む素材、原材料を溶融させて成形しますが、溶融樹脂が溶けていても、金型内部を流れやすくするためには圧力が不可欠となります。射出成形機の圧力設定が適切であれば、樹脂がスムーズに金型のすみずみまで行き渡ります。適切な圧力設定により複雑な形状でも高い精度で成形が可能となります。
製品の寸法精度
製品の寸法精度を高めるには、適切な射出成形圧力が不可欠です。射出圧力が十分ではない場合、樹脂が金型内に均一に満たされず、充填不足に陥り、ショートショットと呼ばれる成形不良が起きます。また、成形品の寸法や形状が不正確となり、さまざまな成形不良を招きます。
製品の強度や外観向上
射出圧力は、成形品の外観だけでなく強度にも大きな影響を及ぼします。圧力が高すぎると後述するバリ(過充填による樹脂のはみ出し)と呼ばれる不良の発生リスクが高まります。反対に射出圧力が低すぎると製品表面がへこむヒケをはじめ、成型品に空洞が生じるボイドが発生するなど、品質に様々な悪影響が及びます。
射出成形の圧力の種類
射出成形の圧力の種類を解説します。射出成形では一次圧力にあたる射出圧力と二次圧力にあたる保圧、そして背圧の3種類の圧力がかかります。ここでは射出圧力(一次圧力)と保圧(二次圧力)、背圧のそれぞれの圧力についてご案内します。
射出圧力(一次圧力)
射出圧力(一次圧力)は、溶融されたプラスチック樹脂を金型のキャビティと呼ばれる成形品の形を作る空洞に押し込むために必要な圧力となります。射出圧力(一次圧力)は、樹脂を金型内にしっかりと充填し、製品の形状や寸法の正確性を高めるために不可欠となります。射出圧力(一次圧力)の設定が低すぎるとショートショット(充填不足)を招きます。反対に射出圧力の設定が高すぎるとバリが出ます。また、型開きの原因にもなるため適切な射出圧力の設定は極めて必要です。
保圧(二次圧力)
保圧(二次圧力)は、金型内に押し込まれた溶融樹脂が冷えるまで圧力をかけ続け、保持する工程です。金型内の溶融樹脂は冷却・固化する際に一定の収縮が生じます。この収縮を補うためには保圧が必要です。保圧が不十分だと樹脂の収縮によるヒケやへこみ、製品内部に空洞ができるボイドが発生します。適切な保圧はこれらの不良発生を防ぎ、製品の寸法安定性を高めます。
背圧
射出成形の背圧とは、溶融樹脂の計量の際、射出方向に加圧する圧力です。射出成形では、金型内に溶融樹脂を充填する前に可塑化装置でペレットを溶融、混練し計量します。溶融樹脂は計量の際にスクリュー先端に送り込まれ、先端に溜まった樹脂の内圧によりスクリューが後退します。スクリューの後退方向とは逆の射出方向に圧力をかけることで、樹脂密度を均一化させ計量が安定します。
射出成形で圧力をかける際の注意点
射出成形で圧力をかける際の注意点をご案内します。射出成形で圧力をかける際にはさまざまな注意点がありますが、ここではその中から樹脂流路での圧力低下や多数個取りでは同時充填、固化樹脂のキャビティ流入は厳禁、ゲートシール後はキャビティ内に圧力不可などの視点でそれぞれの注意点を解説します。
樹脂流路での圧力低下
樹脂流路では射出圧力や保圧の圧力損失が発生します。そのため溶融樹脂がキャビティに達するときには射出圧や保圧よりも5割程度低くなる傾向があります。このような傾向に基づき流路設計をするときは、圧力損失を考慮することが不可欠です。必要な圧力がキャビティ内にしっかり伝わる設計が重要となります。
多数個取りでは同時充填
多数個取りでは各キャビティへの充填のバラつきが、製品品質を低下させます。品質低下を避けるために、それぞれのキャビティに同時充填することが重要です。同時に充填するにはランナー配列やゲートサイズなどを設計する必要があります。
固化樹脂のキャビティ流入は厳禁
樹脂経路内で冷えて固化した樹脂が溶融樹脂とともにキャビティ内に入ってしまうと、製品の外観不良を招きます。また、強度低下にもつながるため固化樹脂のキャビティ流入は厳禁です。固化樹脂のキャビティ流入を防ぐには、樹脂流路内にとどめるような設計が不可欠です。
ゲートシール後はキャビティ内に圧力不可
ゲートシールするとキャビティ内に圧力は伝わりません。ゲートが固化することをゲートシールと呼びますが、成形過程では樹脂流路のゲート部に最初の固化が見られます。そしてゲートが固化すると成形機からの圧力はキャビティ内に伝わらなくなります。ゲートが固化する時間はゲートの方式やサイズによって異なり、ゲートシールするまでの間は一定の圧力で加圧(保圧)することが重要です。その際、保圧設定が低すぎると成形品の表面が凹む、ヒケや収縮などの不良の原因にもなるので注意が必要です。
射出成形の圧力・速度が原因で発生する不良

射出成形の圧力や速度が原因で発生する不良をご紹介します。ここではショートショット、ジェッティング、バリ、ヒケ、ボイド、ソリ(反り)のそれぞれの症状や発生原因、対策などをご案内します。
ショートショット
射出成形のショートショットは、成型品が不完全な充填によって部分的に欠けてしまう成形不良です。ショートまたはショートモールディングとも呼ばれます。主な原因は、射出圧力の不足です。ショートショットは射出圧力が不足して樹脂が金型内に行き届かずに起こるため、適切な射出圧力で加工する必要があります。ほかにもショートショットは射出速度不足による樹脂の早期固化、または金型内のエアトラップによっても起きます。したがって対策としては、金型や樹脂の温度を適切に管理することが重要です。あわせて金型のガス抜き対策を行い、ホットランナー化するのも効果的です。
ジェッティング
射出成形のジェッティング(ジェットフロー)は、成形品の表面に蛇行した模様が現れる外観不良です。ジェッティングは、ゲートからキャビティ内に射出された樹脂が、猛スピードでキャビティ内を流動し、ゲートと反対側の壁に衝突した後に、ゲート近くから充填が進行するために発生します。したがって対策としては射出速度を下げるのが効果的ですが、下げすぎると、フローマークが発生する可能性があるため要注意です。また金型温度を上げて、溶融プラスチックが急激に冷えないようにしたり、溶融プラスチックの温度を上げて、粘度を低くする必要があります。また、ゲート径を大きくして、ゲート側から扇状に充填するとともにゲート位置を変更し、蛇状にならないように溶融プラスチックの流動を制御することが重要です。
バリ
射出成形のバリとは、金型の合わせ面の隙間や突き出しピンなどの隙間から樹脂が溢れる現象です。成形品の形状からプラスチックがはみ出した部分を指します。バリは射出圧力が高すぎると発生します。また、充填する樹脂量が多すぎると、金型の隙間に押し出された樹脂がバリとなります。ほかにもバリは、バレルやノズルの温度が高すぎる場合、樹脂の粘度が低くなり流れやすくなって、わずかな隙間から漏れて発生します。また、金型内の温度差が大きいと、部位ごとに冷却速度や固化のタイミングが異なります。その結果、樹脂の収縮が不均一になったり、部分的な圧力上昇が起こりやすくなり、バリが発生するので注意が必要です。
ヒケ
射出成形のヒケは樹脂が金型内で冷却され固まる際の体積収縮に差が生じ、製品表面がへこむ現象です。ヒケは保圧力が不足すると起きやすくなります。一般的には、一次圧力で成形品の90~95%を充填し、残りの充填は保圧力(二次圧)を使って補填します。基本的に保圧力は、1次圧の1/3程度から始めて徐々に調整していきます。成形品の形状によっては、段階的な圧力制御が有効で、注意点としては、必要以上の高い保圧力はバリやオーバーパックの原因となります。場合によっては、金型の破損を招きますから、極端な数値変更や1次圧を超える数値設定は避けることが重要です。
ボイド
射出成形のボイド(空洞、気泡)は成形品の内部に空気の泡が発生する現象です。ボイドは保圧が低すぎると発生する可能性が高まります。また、キャビティ表面温度が高すぎたり、保圧時間が短いと発生しやすくなります。したがって保圧を高くするとともにキャビティ表面温度を下げ、適切な保圧時間を確保することが重要です。さらにボイドはエアーベントの不足やコールドスラグウエルが無い、または小さいこと、スプール、ランナー、ゲートが細い場合にも発生しますので、それぞれの対応が重要です。
ソリ(反り)
射出成形のソリ(反り)は冷却された樹脂製品が、金型から取り出した直後に変形を起こしてしまう現象です。ソリは射出圧力が不足すると発生する可能性が高まるため、適切な射出圧力を設定することが重要です。また、射出保持圧時間が短い場合や射出速度が遅いと発生します。ほかにも樹脂温度が低すぎたり、高すぎる場合や型開きが早いと発生するのでそれぞれ適切に制御することが重要です。さらにソリは金型起因で起こる場合もあり、離型が悪い、突き出しが不適当、型温度が高い、ゲートの位置・サイズが不適切、冷却の位置が悪い場合にも起きやすくなります。
射出成形の充填圧力以外の成形条件
射出成形の充填圧力以外の成形条件をご案内します。射出成形では充填圧力以外にも様々な成形条件が存在します。ここではその中から樹脂温度、金型温度、射出速度、充填圧力、冷却時間、計量位置、速度-保圧切り替え位置、スクリュー前進位置、スクリュー回転数、スクリュー背圧、金型開閉速度、型締め力、突き出し速度、突き出し回数、せん断速度のそれぞれの条件をご説明します。
樹脂温度
射出成形の樹脂温度は、射出シリンダーの温度設定によって調整をすることが可能です。樹脂温度の適正な範囲は、樹脂メーカーが樹脂のグレードによって推奨温度範囲を提示しており、これに基づいて決まります。樹脂温度は熱電対式温度計でパージング射出した樹脂に熱電対を差し込んで計測することができます。
金型温度
金型温度は、成形品の収縮やキャビティ表面の転写を左右する重要な条件です。金型温度は、15~90℃の温度範囲では水冷式温度調節機を使用するのが一般的です。90℃を超える場合には加圧水型か油温度調節機を使用します。その際、もっとも重要なのはキャビティ表面温度で、正確に制御するには接触式表面温度計で実測した値をベースに金型温度を調整します。
射出速度
射出速度は、金型内へ溶融したプラスチックを充填する際の速さです。単位はmm/sとなります。射出速度が遅すぎる場合には充填不良が発生する場合があります。反対に射出速度が速すぎる場合には前述したバリやジェッティングなどの不良が発生しやすくなります。
冷却時間
射出成形の冷却時間は、成形品を金型内で固化させるまでに要する時間です。冷却時間が短すぎると収縮が大きくなります。結果、製品の寸法が小さくなってしまい、突き出し時に変形してしまう場合もあります。一方、冷却時間が長いと成形サイクルが長くなります。結果、生産性が低下し、成形品の加工コストが上昇します。冷却時間は成形サイクル全体の中で占める割合が高いため、成形サイクルを短縮するには冷却時間の短縮が効果的です。
計量位置
射出成形の計量位置は、スクリューやプランジャーが射出に必要な体積の樹脂を計量するための位置です。単位はmmで、計量位置が短すぎると充填不良が起きやすくなります。反対に計量位置が長すぎるとシリンダー内に余分な樹脂が滞留して焼けが発生したり、ガスが発生する場合があります。計量位置は、成形品の射出体積を考慮しつつ、少なすぎず、多すぎない妥当な分量の樹脂を毎回計量できるようにする位置がベストです。
速度-保圧切り替え位置
射出成形の速度-保圧切り替え位置は、射出速度と保圧の切り替えをするためのスクリュー位置のことで、単位はmmです。この位置が変化することで成形品の外観や寸法も変化します。
スクリュー前進位置
射出成形のスクリュー前進位置は、スクリューが射出完了した後で最も前進する位置を制御するパラメータとなります。単位はmmで、クッション量を制御する条件となります。ちなみにクッション量とは、射出シリンダー内の先端部にスクリューが最前進した後にシリンダー内に残っている溶融プラスチックの量です。このクッション量が少ないと保圧が適正にかからず成型品に影響を与えます。クッション量が多すぎると材料が滞留して熱の影響を受けて劣化する場合があるので要注意です。
スクリュー回転数
射出成形のスクリュー回転数は、材料となるペレットを混練するためのスクリューの回転数で、単位はrpm(回/分)です。スクリュー回転数が早すぎると溶融樹脂内にエアーを巻き込んでしまいます。結果、ガスが発生しやすくなります。反対にスクリュー回転数が遅すぎると十分な混練ができず材料品質がばらついてしまう場合があるため、適切な設定が不可欠です。
スクリュー背圧
射出成形のスクリュー背圧は、材料の計量時にスクリューが後退する際の圧力となります。単位はMPa(mpa)またはkgf/cm2で、背圧の変化により材料の混練状態が変動します。
金型開閉速度
射出成形の金型開閉速度は、金型が開いたり閉じたりする速度で、単位はmm/sとなります。サイクルの短縮という点では、金型開閉時間は短いほうが理想的ですが、型閉速度が速すぎると金型が急激に衝突する危険性が高くなってしまうため、直前でブレーキをかけなければなりません。また型開き速度が速すぎると、離型の状態が変動してしまい品質に悪影響を及ぼします。
型締め力
射出成形の型締め力は、パーティング面を閉じておく力のことで、単位はkN(キロニュートン)またはtf(トン・エフ)です。キャビティ内部には高い充填圧力が作用します。この圧力によって金型のパーティング面は開こうとしますので、これを瞬間的に開かないように締め付けておく力が型締め力となります。
突き出し速度
射出成形の突き出し速度は、成形品を型から押し出すエジェクタロッドの前進速度に当たります。単位はmm/sです。突き出し速度が速すぎると成形品が破損したり白化する危険性が高まります。反対に遅すぎると成形サイクルが長くなってしまいます。したがって、成形品の破損を防ぎつつ効率的なサイクルを実現するには、適切な速度に設定する必要があります。
突き出し回数
射出成形の突き出し回数は通常1回ですが、特殊な金型では2段突き出し構造などもあります。金型から成形品を取り出すための構造を設計することで、取り出しにくい製品でも複数回の突き出しが可能です。離型が良い金型であれば1回の突き出しで十分です。しかし、離型が悪い金型の場合、複数回突き出さないと成形品が金型から取り出せないこともあります。
せん断速度
せん断速度は、溶融ポリマーがキャビティ内で変形を受ける速度勾配です。 せん断速度が低いとキャビティの充填が不完全になり、バリやショートショットを招きます。一方、せん断速度が高いとポリマーの劣化を引き起こし、変色やガスの発生、機械的特性の低下などの支障が生じます。
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