2色成形の試作について

2色成形の試作について解説します。2色成形は2色成形機と呼ばれる専用の射出成形機を用い、異なる材料を一体化して成形する射出成形工法です。他工法では2つの部品を別々に成形して組合せますが、2色成形は成形工程内で一体化して成形機より取出す事が可能です。製造工程において部品点数削減や組立て工数削減、コスト削減などの効果があります。
ここでは2色成形の試作品製作で使用する金型(簡易金型含む)や材料・素材(熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、エンジニアプラスチック)をご紹介します。あわせて2色成形以外の工法(射出成形、真空【圧空】成形、切削加工)や三光ライト工業による2色成形試作品の一例をご案内します。
目次
2色成形の試作で使用する金型
2色成形で使用する金型について解説します。2色成形は異なる樹脂や材料、具体的にはプラスチックやエラストマーを組み合わせて一体化させる成形工法です。1つの工程やサイクルで、2つの樹脂や異材を組み合わせることからダブルモールド(doublemolding)とも呼ばれます。2色成形の一般的な工程は金型の凹側、いわゆるキャビティ(cavity)が異なる2つの金型を用います。1次型へ射出した後、2次型へ射出する際に180度回転や反転などの工程が加わるのが特徴です。4工程を1サイクルで繰り返し、熱融着(溶着)するのが2色成形(ダブルモールド)の一般的な工法となります。なお、三光ライト工業は2色成形の試作では簡易金型には対応しておりませんのでご了承ください。また、2色成形金型には成形機の機構の違いにより、アーブルグタイプとDCタイプの2種類があります。どちらのタイプの金型を使用するかは、製品の形状や大きさによって決まります。アーブルグタイプは1型タイプと呼ばれ、固定側1型の中にそれぞれ1次側と2次側の形状を作り、可動側が180度回転する仕組みになっています。一方、DCタイプは2型タイプと呼ばれ、固定側は、1次側と2次側の形状をそれぞれ別々に製作するのが特徴です。三光ライト工業では金型工場で製作したのち、隣接する試作センターで試作品を作製します。試作センターでは各種の成形機、試作専用塗装機をはじめ量産に必要な製造設備がすべて揃っており、最終工程まで一貫して試作できます。試作品では寸法測定はじめ離型性、仕上がり、1次側の樹脂と2次側の樹脂の相性(接着性)などを検証します。その際、不具合や微調整があればすぐに金型工場で修正が可能です。あわせて成形品の離型性、仕上がりの改善も行います。このように弊社の場合、金型工場と試作センターを併設しているため、修理や急な変更などのご要望にスピーディーかつ柔軟に対応できます。結果として金型製作から試作品の検証、量産品の完成までのリードタイムを大幅に短縮し、コストダウンできる強みがあります。
2色成形(ダブルモールド)試作で使用する材料・素材
2色成形(ダブルモールド)試作で使用する材料・素材について解説します。2色成形で使用する材料としては主に熱可塑性エラストマー(Themo Plastic Elastomer:TPE)、熱可塑性樹脂(ABS、PMMAなど)、エンジニアプラスチック(PBT、PCなど)などがあります。2色成形では素材と素材の相性(密着性)が極めて重要です。使用する樹脂同士の接合や流動解析においても高度なノウハウが不可欠で、不適切な組合せでは樹脂の剥離といった不具合のリスクが高まります。また、図面通りに立ち上げても、実際には樹脂の収縮率や形状、成形条件により、想定外の変形や反りが発生し、製品として使い物にならない場合もあります。このように2色成形では素材の特性を十分に踏まえての選定がポイントとなります。ここでは熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、エンジニアプラスチックそれぞれの物質的特性を解説します。
熱可塑性エラストマー(TPE)
軟質プラスチックの代表的な材料である熱可塑性エラストマー(TPE、Themo Plastic Elastomer)はゴムの様な弾性と加熱により液状に変化する性質を持つ、加工性に優れた素材です。2色成形の試作でも幅広く使用されます。熱可塑性エラストマーはポリスチレン系(TPS)、オレフィン系(TPO)、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPC)、アミド系(TPA)などの種類があります。ここではポリスチレン系(TPS)、オレフィン系(TPO)、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPC)、アミド系(TPA)それぞれの特性を解説します。
ポリスチレン系(TPS)

2色成形の試作で使用されるポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)は、熱可塑性エラストマー(TPE)の中でも特に柔軟性、弾力性に優れ、最もゴム的性状を持つ素材です。耐熱性、耐寒性にも優れ、様々な使用環境に耐える性能があります。成形性や機械強度などの耐久バランスを兼ね備えているのに加え、価格も安価なことから自動車や日用品、家電など幅広い製品に採用されています。
オレフィン系(TPO)

2色成形の試作で使用されるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、塩化ビニール系やスチレン系と並ぶ三大熱可塑性エラストマーのひとつで、ポリプロピレン(PP)の中に、エチレン-プロピレンゴム(EPDM、EPM)を微分散させた熱可塑性エラストマーに位置づけられます。TPOは常温ではエラストマー(弾性体)であり、ゴムのような性質を持ちつつ一般のプラスチックと同様に成形加工できるのが特長です。熱的性質としては、マイナス60~100℃での連続使用が可能で、高温下で老化させても塩ビのように硬度上昇を起こしません。また、耐候性にも優れ、長期間の屋外暴露試験でも表面劣化を起こさず耐オゾン性も極めて良好といった特性があります。
ウレタン系(TPU)

ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)は、引っ張りに強い機械的強度に加え、ゴム弾性にも大変優れた素材です。傷がつきにくい特性を示す耐摩耗性では、熱可塑性エラストマーの中でも最高水準を示します。そのほか耐屈曲性、耐油性、耐薬品性を兼ね備えています。硬さの種類も豊富で、ゴム硬度~プラスチック硬度まで幅広いのも特長です。また、他樹脂とのポリマーブレンドが容易で、各種添加剤や充填剤の混合、顔料や色マスターバッチでの着色が可能なうえ、圧縮永久歪みが小さいなどの強みがあります。TPUを2色成形の試作で使用した場合、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、PC+GF、PC-ABSなどとの相性は良好とはいえません。
エステル系(TPC)

エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)は、耐摩耗性、耐熱性、耐油性に優れます。2色成形の試作では、ABSとの相性(密着性)は不良ですが、ポリカーボネートとの相性は良好となります。プラスチックの加工特性とエラストマーの柔軟性をあわせもつTPCは優れた曲げ疲労特性や耐屈曲性を有し、熱可塑性エラストマーの中でも使用温度領域が広いのが特徴です。インサート成形による熱融着も可能で、PCなどを基材とするペングリップや電子部品の止水パッキン、機械強度が求められる自動車部品などに幅広く採用されています。ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)と比べて、高いグリップ力があるため工業製品の試作としてもよく用いられています。
アミド系(TPA)

アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)は、強靭かつ耐薬品性、耐摩耗性に優れた熱可塑性エラストマーです。基本的にはナイロン樹脂の特性を持っており、消音特性にも優れますが、ゴム弾性が乏しいため用途は限られています。また、価格も高価なことから2色成形の試作での使用は限定的です。ただし他の熱可塑性エラストマーと同様に、TPAは射出成形や押出成形での加工は可能です。
熱可塑性樹脂
2色成形の試作では複数の熱可塑性樹脂が使用されます。ここではその中からABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂)、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)のそれぞれの材質特性を解説します。
ABS

2色成形(ダブルモールド)試作材料のひとつであるABS樹脂(abs樹脂)は、アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)という3種類のモノマーで構成される熱可塑性樹脂です。ABSは剛性や硬度、加工性、耐衝撃性、曲げ疲労性など機械的特性のバランスに優れます。これらの特性を生かして車載部品やカーナビ、電化製品、プラモデルなど幅広い用途で使用されています。ABSは原料の配合比率を調整して、それぞれの特性を強調することも可能です。表面の美観に優れるのも特長で、印刷特性も他の樹脂を上回ります。流動性は良好であるため、薄肉品なども成形しやすいといった強みがあります。
PMMA

PMMA(pmma:Poly Methyl Methacrylate)はポリメチルメタクリレート樹脂 (ポリメタクリル酸メチル樹脂)の略称で「アクリル」とも呼ばれています。PMMAは2色成形の試作でもひんぱんに使用される熱可塑性樹脂のひとつです。相性(密着性)としてはPC(ポリカーボネート)やPC-ABSとは特に良く、ABSとPC+GFとも問題なく密着可能です。PMMAの外観は透明で4大透明樹脂に数えられるほどの高い透過性があります。こうした特性を生かし、メガネや各種ピックアップのレンズ、食品容器、大きなものでは、水族館の水槽などにも使用されています。
エンジニアプラスチック
2色成形の試作ではエンジニアプラスチックも使用されます。エンジニアプラスチックとは、耐熱性の高いプラスチックの一群で、100℃以上の環境に長時間置かれても、一定以上の引っ張り強度と曲げ弾性率を兼ね備えた素材を指します。ここではエンジニアプラスチックの中からPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPC(ポリカーボネート)のそれぞれの物質的特性を解説します。なお、三光ライト工業ではスーパーエンジニアプラスチックの取り扱いはございません。
PBT(ポリブチレンテレフタレート)

2色成形の試作で使用される高機能エンジニアプラスチックのPBTは一般的にガラス繊維を配合することで、機械的性能を強化しています。PBTは2色成形のほかにも、押出成形やブロー成形、圧縮成形など他工法にも使用されています。PBTは電気的性質や耐薬品性に優れるほか摩擦、耐熱性、加工性に優れるのも特徴です。加工性や寸法安定性も高いため、工業用製品の機能部品にひんぱんに使用されています。一例を挙げると、電気電子部品や自動車部品、コピー機部品、コネクター、ソケットなど幅広い用途があります。
PC(ポリカーボネート)

PCは熱可塑性プラスチックの一種で、透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性・寸法安定性などにおいて高い物性を示します。2色成形の試作における相性(密着性)ではABSやPC+GF、PC-ABSなどと良い関係にあります。PCの耐衝撃性は一般的なガラスの250倍以上ともいわれます。これらの特性を生かし、PCは自動車用ヘッドライトレンズや照明レンズ、サングラス 、眼鏡、スイミングゴーグル、スキューバーダイビングマスク、ヘルメット、CD、DVDディスクなどに使用されています。さらに携帯電話、スマートフォンの筐体は、PCにガラス(GF)を10%~30%ほど入れ強度を増した素材が度々使用されています。
2色(二色)成形以外の工法による試作
2色(二色)成形以外の工法による試作を解説します。ここでは射出成形、真空(圧空)成形、切削加工のそれぞれの試作についてご案内します。
射出成形(単色)
射出成形(単色)の試作では一般的な金属型以外にアルミ型を含む簡易金型が使用される場合があります。一般的な簡易金型は、ベースとなる金型に、目的の形状に加工したアルミニウム金型をカセット方式で入れ込むタイプです。簡易金型はその名のとおり、量産製品の製造工程に使用する金型ではなく、量産前に少量の試作品の生産を目的として使用する簡易的な金型です。したがって簡易金型は、鋼材の量産用本金型に比べ、製作コストが低く、完成までの期間が短いといったメリットがあります。なお、三光ライト工業はアルミ型は対応しておらず、金属型のみの対応となります。
真空(圧空)成形
真空(圧空)成形の試作では金型以外に木型や樹脂型が使用される場合があります。木型や樹脂型は、金属型に比べ費用は抑えられますが、木型はヒビ割れや継ぎ目の開きが出てしまうといったデメリットがあり、樹脂型はヒビ割れは発生しにくいものの、膨張するため、寸法安定性が低下する場合があります。一方、金型(量産型含む)は木型や樹脂型を大きく上回る耐用強度があり、数万ショット以上の使用が可能です。強度や耐久性のほかにも表面状態が良い上、型の温度調整が可能であるため、ソリの少ない成形品を製作できるのもメリットです。三光ライト工業は木型、樹脂型は製造していませんのであらかじめご了承ください。
切削加工
切削加工は材料を一度溶かして液状にしてから型に流し込む射出成形や鋳造と異なり、材料を固体のまま加工する技術です。小ロット生産に向いており、試作品やカスタム製品の製作に適しています。また、専用の機械と治具を用いて材料の不要な部分を除去していくため、精密さや複雑な形状の要求に柔軟に対応できるのが強みです。複雑な製品形状や高い寸法精度で対応できるほか、設計変更が比較的容易なのも切削加工の強みです。なお、三光ライト工業は切削加工には対応していません。
三光ライト工業による2色成形試作品
2色成形の使用用途は幅広く、有⾊材と透明材のような異色2層構造を⼀体成形したり、エラストマーと硬質素材のような触感の異なる素材を一体成形し、グリップ力のある部品と嵌合することも可能です。また、パッキンやボタンのような多機能多部品を⼀体成形することもできます。2色成形による具体的な製品は多岐に渡り、ウェアラブルバンドやカメラグリップ、電⼦機器の外装、スマートフォン部品、バーコードリーダー、リモコンのケース類の防塵・防滴パッキン、操作パネルの押しボタンなどがあります。三光ライト工業でも様々な2色成形品を製造しており、ここでは弊社製品群の一部をご紹介します。
2色成形の自動車車載品
2色成形のスマートフォン部品
その他2色成形の各種部品
2色成形の試作は三光ライト工業にお任せください
異素材同士を組合せる2色成形の試作は三光ライト工業にお任せください。弊社は生産拠点として川崎工場(本社)と埼玉工場の2工場を構えており、中原工場の試作機を合わせて、全自動2色成形機を計10台保有しています。これらの設備能力を最大限に発揮し、弊社はスマートフォンの防水コネクターカバーなど、図面に忠実で高品質、高機能かつデザイン性の高い2色成形品を低価格、短納期でご提供します。また、弊社は2色成形のみならず単色射出成型や真空成形、LIM成形、インサート成型などにも対応可能です。射出成型では成形品はもとより、金型も自社工場で設計、製作することでスピーディーな対応とコストダウンを実現しています。金型製作部門は中原工場にあり、マシニングセンターやNC加工機、細穴加工機、フライス盤、平面研削盤、成形研削盤、レーザー溶接機、精密高速旋盤、直立ボール盤、3次元CAM、3次元CADなど最新鋭の精密機械を設備しています。厚物、薄物、大型、小型など大小サイズを問わず対応いたしますのでお申し付けください。プラスチック部品のアッセンブリ(接合)や金属部品の圧入、シール貼り、超音波接着、パッケージ品製作といった組立加工も承ります。また、弊社は塗装や印刷などの二次加工にも対応します。プラスチック塗装は製品の加飾、表面処理技術の一つで、塗装によって表面保護を施すことで外観品質や耐久性が向上します。お客様のご負担となる組立てや二次加工をお受けすることで工数削減、コストダウンに貢献します。弊社は2006年より二酸化炭素削減を目指し、石油由来の素材だけでなく植物由来のバイオマス材料やバイオマス材料混合プラスチックの応用にも取り組んでいます。弊社の取り組みや会社案内、生産技術などはHPをご覧ください。ご連絡お待ちしています。





